2023年3月22日水曜日

学校におけるマスク着用解除 - 生徒、教職員のCovid-19の発生率

NEJM,2022,vol.387,no.21
Lifting Universal Masking in Schools - Covid-19 Incidence among Students and Staff

2022年2月にマサチューセッツ州では学校でのマスク全員着用方針を解除したが、グレートボストンでは2つの学区(ボストン地区、チェルシー地区)のみマスク全員着用を2022年6月まで継続した。州教育省のデータDESEの週単位のCovid-19のデータを用い、差分の差分法(DID)にて検討した。マスク着用廃止後15週間のデータではマスク着用廃止学区ではCovid-19発生は134.4/1000人、マスク着用継続学区では66.1/1000人で、マスク着用廃止は44.9/1000人発症が増加していた。マスク着用継続学区は廃止学区にひして、校舎の換気設備が不良、生徒数が多い傾向、低所得者の生徒、英語学習者の割合が多い傾向があった(別の報告ではコロナワクチン接種率はボストン地区、チェルシー地区では53%に比し、他の地区は67%)。
マスク全員着用は(学校での対面教育の継続による)教育格差の軽減に有用と考えられた。

2023年3月15日水曜日

心不全でのダパグリフロジンの長期効果の推定

JACC,2022,vol.80,no.19
Estimated Long-Term Bnefit of Dapagliflozin in Patients With Heart Failure

HFpEFでのSGLT2阻害薬の心血管死や心不全悪化の減少効果は2つのRTCで示されている。ダパグリフロジンの長期使用による。イベントフリー生存をノンパラメトリック年齢ベースの推計法により検討した。DELIVER研究はダパグリフロジンの第3相の無作為化二重盲検試験で、40歳以上、NIHYⅡ-Ⅳ、LVEF>40%、NT-proBNP>300を対象として2018年9月から2021年1月まで20カ国350施設で実施された。主要エンドポイントは心血管死と心不全増悪。6263人(72±10歳)のHFが登録され、6211人が完遂。観察期間2.3年。1122人(27%)でエンドポイントのイベントが発生し、300(27%)が心血管死、718(64%)がHF入院であった。全死亡は1023人。ダパグリフロジンはプライマリエンドポイントを18%減らした(HR:0.82、0.73-0.92)。全死亡では統計学的有意差なし。ノンパラメトリック年齢ベースの推計では、55歳ではプライマリエンドポイントまでのイベントフリー生存期間はダパグリフロジン群11.8年、対照群9.8年(p=0.14)、65歳では12.1年vs9.7年(p=0.002)、75歳では10.6年vs9.4年(p=0.063)であった。55歳から85歳でイベントフリー生存の絶対的な利益は80歳以降は減衰した。

2023年3月8日水曜日

敗血症性ショックにおけるバゾプレシン導入時のカテコラミン濃度、乳酸値、ショック時間と死亡の関係

Critical Care Med,2022,vol.50,no.4
Association of Catecholamine Dose, Lactate, and Shock Duration at Vasopressin Initiation With Mortality in Patients With Septic Shock

米国では敗血症性ショックの20-30%にバゾプレシンが投与されている。VASST研究のサブ解析ではノルエピネフリン15μg/分以下で死亡で有用であった。今回は実臨床での死亡との関連を検討した。多施設、後方視的研究で、Sepsis-3での敗血症性ショックの基準を満たす18歳以上で検討した。8施設、1610例(63±15歳、男性51.6%、ICU63.9%、大学病院76%、乳酸値3.9mmol/L(35.1mg/dL)、バゾプレシン導入時ノルエピネフリン25.0μg/分。APACHEⅢスコア109点)生存660例41%、死亡950例59%で、生存群と死亡群の間では年齢、基礎疾患の有無、乳酸値(3.0vs4.8)、バゾプレシン導入時間(5.0時間vs5.7)、ノルエピネフリン濃度(20.0vs30.0)で有意差を認めた。多変量解析ではノルエピネフリン濃度60μg/分以下では10μg/分上昇毎に死亡リスクが20.7%上昇し、ショック時間毎にバゾプレシン導入字の乳酸値が死亡と有意に関連し、ショック時間12.2時間では乳酸1毎に死亡の修正ORが1.18上昇した。逆にバゾプレシン導入時の乳酸値毎の導入までのショック時間は関連を認めなかった。乳酸値2.3mmol/L、ノルエピネフリン濃度10μg/分でのバゾプレシン導入時の予測死亡率41%、乳酸値3.9mmol/L、ノルエピネフリン濃度25μg/分での予測死亡率53%であった。(注、体重を90㎏とすると、25μg/分で、0.28γ)