2024年2月28日水曜日

心不全に対する心臓再同期‐除細動療法の長期転帰

NEJM,2024,vol.390,no.3
Long-Term Outcome of Resynchronization-Defibrillation for Heart Failure

RAFT研究では植込み型除細動器治療より心臓再同期‐除細動治療の方が5年生存で成績が良好であったが、今回、さらなる長期成績を検討した。NYHAクラスⅡ、ⅢでLVEF<30%、QR幅120msec以上の心不全の患者をICD単体またがCRT-D群に無作為に割付。主要評価項目は全死亡、二次評価項目は全死亡、心移植、左心補助デバイス使用の複合。1798例が登録され、1050例で長期予後検討。中央値7.7年(3.9-12.8年)、生存患者は中央値13.9年(12.8-15.7年)フォロー。ICD群530例、66.8歳、LVEF22.1%、PCIあり24.2%、CABGあり36.6%、CRT-D群520例、66.3歳。全死亡はICD群76.4%vsCRT-D群71.2%、加速係数0.80(0.69-0.92;p=0.002)。二次評価項目の複合転帰も77.7%vs75.4%。

2024年2月14日水曜日

同種幹細胞による急性期脳梗塞の細胞治療、TRESURE研究フェーズ2/3

JAMA Neurol,2024
Allogenic Stem Cell Therapy for Acute Iscemic Stroke The Phase 2/3 TREASURE Randomized Clinical Trial

同種幹細胞の大量生産品MultiStem用いた日本44施設での多施設二重盲検試験。NIHSS:8-20のラクナ梗塞、脳幹梗塞を除く急性期脳梗塞、20歳以上(途中で84歳以下に制限)で発症後18-36時間以内に1回MultiStemを投与。主要評価項目は90日時点でのmRS等。207例でランダム化され、105例でMultiStem、102例でプラセボが投与された。MultiStem群の年齢中央値79歳、NIHSS:14点、tPA投与23.1%、機械的血栓除去術(MT)30.8%(tPAとMT併用は除外されている)。90日後のmRS1以下は14.4%vs11.6%、mRS2以下は35.1%vs24.2%で差なし。層別化した探索的検討では、DWIでの梗塞巣≧50mLではmRS2以下は29.6%vs8.1%でp=0.04で有意に良好であった。64歳未満でも良好な傾向を認めた。365日時点でのBI≧95では35.6%vs22.5%でp=0.05で有意に良好であった。

2024年2月7日水曜日

非重症の入院を要する市中肺炎の第1選択の抗菌薬の効果の比較

Chest,2024,vol.165,no.1
Comparative Effectiveness of First-Line and Alternative Antibiotic Regimen in Hospitalized Patients With Nonsevere Community-Acquired Pneumonia

カナダ、オンタリオ州19施設のGEMINIデータベースを用いて、非ICUの市中肺炎の治療、治療効果について検討した。誤嚥性肺炎は除く。23512例のデータを用いた。ベータラクタム(BL)+マクロライド(M)39.7%、BLのみ38.9%、キノロン(FQ、レボフロキサシンorモキシフロキサシン)19.2%、BL+ドキシサイクリン(D)2.2%。院内死亡率はBL+M:7.5%、BLのみ9.7%、FQ:6.7%、BL+D:6.0%で、BL+Mに比してBLのみの生存退院の修正ハザード比は0.90(0.84-0.96)であった。BL+M、FQ、BL+Dは効果に差を認めなかった。