2024年1月17日水曜日

女性ホルモン療法中のスタチン使用と静脈血栓症リスク

JAMA Network Open,2023,vol.6,no.12
Statin Use and the Risk of Venous Thromboembolism in Women Taking Hormone Therapy

米国の6700万人のデータベースCDMを用いて、12ヶ月間、VTEを罹患していなかったもので、初回のVTEと診断され、30日以上、抗凝固療法を実施または下大静脈フィルター留置を行ったものを症例群とし、年齢等をマッチさせた対照群を1対10で選出し、VTE診断日前のホルモン補充療法、スタチン使用を検討した。症例2万359人、対照20万3590人。ホルモン補充療法のVTEの修正オッズ比は1.51(1.43-1.60)。スタチン使用者のVTEの修正オッズ比0.88(0.84-0.93)。ホルモン補充療法者でスタチン非使用はVTEの修正オッズ比1.53(1.44-1.63)、スタチン使用ではOR1.25(1.10-1.43)。スタチン非使用のホルモン補充療法者に対し、スタチン使用(ホルモン補充療法者)のOR0.82(0.71-0.94)で、高強度スタチン(アトルバスタチン40㎎またはロスバスタチン20mg以上)のOR0.69(0.50-0.95)であった。

2024年1月10日水曜日

ペルおよびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)と腎細胞癌のリスク

JNCI,2021,vol.113,no.5
Serum Concentrations of Per-and Polyfluoroalkyl Substances and Risk of Renal Cell Carcinoma

米国住民の98%にPFASの4化合物が検出されるとの報告がある。国際ガン研究センターではPFOAは腎癌に関連し発癌物質group2Bとしている。住民ベースの前向き研究、nested case-control研究としてPFOAおよび他7種のPFASと腎癌の関連について検討した。ランダム化された住民ベースのPLCO研究(前立腺、肺、大腸、卵巣癌スクリーニング研究)のデータを用いた。PLCO研究は全米10ヶ所の55-74歳の15万人が1993-2001年に募集された。同研究で腎癌と診断されたものは326例、年齢、性、人種を一致させた対照326例を抽出し、PLCO研究登録時の血液データを用いて検討した。PFAS濃度は固相抽出液体クロマトグラフィ・タンデム質量法で計測。対照群に比して腎癌群では高血圧、肥満が有位に多かった。PFAS濃度は非ヒスパニック白人の比してアフリカ系で多かった。PFAS濃度の第1四分位に対して第4四分位ではPFOA(ペルフルオロオクタン酸)でオッズ比2.63(1.33-5.20)、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)でOR2.51(1.28-4.92)、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)OR2.07(1.06-4.04)で有位に高かった。他のPFASでは傾向を認めなかった。この研究でのPFAS濃度は全米健康栄養調査(NHANES)でのPFAS濃度と同様の結果であった。