2026年5月20日水曜日

心房細動患者の脳梗塞2次予防でのカテーテルアブレーションと経口抗凝固療法

 JAMA Neurology,2026
Catheter Ablation and Oral Anticoagulation for Secondary Stroke Prevention in Atrial Fibrillation
 -The STABLED Randomized Clinical Trial-

脳梗塞発症後1-6ヶ月後に実施されたカテーテルアブレーション(CA)の効果と安全性を検討した。
対象:20-85歳で、6か月以内に発症した心房細動を有する脳梗塞患者で、mRS3以下のもの。
方法:日本の45施設で、多施設、前向き、オープンラベルでのRCTで、標準治療群は抗凝固療法のみで、CA群は抗凝固療法+CAで、1:1でCHADS2スコアで層別化した上で、無作為に割付。標準群はエドキサバンで治療。CA群は割付後、最低4週間のエドキサバンで治療後、1-6か月以内にCAを実施。抗不整脈薬の使用は熟練の循環器内科医が裁量で実施許可。
主要評価項目:虚血性脳卒中+全身性塞栓症+全死亡+心不全入院の複合。ネット臨床転帰は主要評価項目+CAによる重症有害事象。
結果:251人が登録され、249人がITT解析。年齢71.7±7.5歳、女性24.9%。DWI-ASPECTSは8.4±2.1、NIHSSは1.7±2.6であった。標準群3.7年、CA群3.5年観察。CAはランダム化後、平均65日で実施。17%がCAを複数回実施。ITT解析では主要評価項目の複合イベントは標準群4.9/100人・年、CA群5.6/100人・年で発生し、HR:1.11(0.62-2.01)で有意差なし。CA群の22例の内、3例はCAを非実施、2例はCA実施前に発生。パープロトコル解析も同様の結果であった。CA群に割り付けられたもののうち、15.2%は抗凝固療法のみで、標準群のうち、12.9%でCAが実施され、CA実施されたものは65.0歳vs73.0歳であった。追加検討でのCA実施者と抗凝固療法のみの者では、複合イベントはHR:0.84(0.46-1.56)であった。

2026年5月13日水曜日

PPI長期使用による閉塞性肺疾患の増悪リスク

 Chest,2026
Exacerbation Risk by Chronic Proton Pump Inhibitor Use in Obstructive Lung Disease

対象:ベルギーの健康保険の利用者でベルギーの外来患者のPPI使用者。PPIの禁忌であるMTX使用者、肝硬変は除く。
方法:PPI使用とCOPD、BA、ACO等(COAD、慢性気道閉塞性疾患)の増悪との関連を検討。
主要評価項目:入院を要する重症の増悪および中等症の増悪。
結果:93万人のCOADのうち、PPI使用者44.6%で、28日未満13.8%、29-180日使用30.8%、181-365日使用30.8%、365日以上使用24.6%。PPI非使用に対するPPI使用での増悪の修正ハザード比:1.18(1.17-1.19)。365日以上使用でHR,1.25(1.23-1.26)。PPIの累積使用はCOADの増悪と関連していた。

2026年4月22日水曜日

HFpEFに対するフィネレノンの効果と安全性、FINE-HEART解析

JACC HF,2025,vol.13,no.8
Efficacy and Safety of Finerenone in Heart Failure With Preserved Ejection Fraction : A FINE-HEART Analysis

HFmrEF、HFpEFに対するフィネレノンの効果を3つの国際RCT(FINEARTS-HF、FIDELIO-DKD、FIGARO-DKD)の統合解析でメタ解析した。FIDELIO-DKD、FIGARO-DKDはT2DM、CKDで尿中アルブミン/クレアチニン比:30-300、eGFR:25-60で、K<4.8で、HFrEFは除外。FINEARTS-HFではEF>40、eGFR≧25、K≦5.0のものが登録。フィネレノンは10mgから開始、20mg、最大40mgまで増量。主要評価項目はCV死orHF入院。3研究で18991例が登録され、うちHFmrEF/HFpEFは7008例(年齢71±10歳、女性44%、白人80%、AF合併34.2%、FINEARTS-HF研究が85.6%)(フィネレノン群3448例、プラセボ3520例)。2.5年観察。主要評価項目では19.4%vs22.0%で、ハザード比0.87(0.78-0.96)であった。CV死はHR:0.92(0.78-1.08)、HF入院:0.84(0.74-0.94)、新規AF:0.75(0.58-0.97)。eGFRの50%以上低下の腎転帰:1.09(0.84-1.43)、全死亡+全入院:0.93(0.88-1.00)であった。
有害事象であるK>5は15.0%vs7.6%、高K血症関連入院0.6%vs0.2%、急性腎障害4.0%vs2.7%。

2026年4月15日水曜日

意識の変容、低血糖をきたした12歳女性

NEJM,2026,vol.394,no.12
Case Records of the MGH
Case 9-2026: A 12-Year-Old Girl with Altered Mental Status and Hypoglycemia

当日朝、起こしてもなかなか起きず、視線も定まらず、言葉も出ない状態。前夜までは普通。体温35.4度、手足の自発的な運動は認められた。血糖30。ブドウ糖静注で意識レベル改善。頭部CT異常なし。この1年で体重減少4kgあり。圧痛を認めない腹部膨満あり。その後も持続的ブドウ糖静注にもかかわらず持続的低血糖あり。βヒドロキシ酪酸、インスリン、Cペプチドは検出感度以下、プロインスリン0.6pmol/L(3.6-22.0)であった。

鑑別診断
インスリノーマ、人為的低血糖、先天性高インスリン血症、インスリン自己免疫症候群
非膵島細胞腫瘍性低血糖症(IGF-Ⅱ産生腫瘍)

検査
グルカゴン負荷試験:血糖46→142と増加
IGF-Ⅱ:IGF-Ⅰ比8.6:1(正常<3:1)
腹部CTにて28×21の下腹部に充実性腫瘤(間葉系腫瘤、癌、転移性サルコーマ、リンパ腫、非定型奇形腫)
コア生検が実施。免疫組織染色、遺伝子検査等にて良性平滑筋腫と診断され、外科的切除。

2026年4月8日水曜日

急性呼吸不全における超音波診断の妥当性

 Chest,2008,vol.134
Relevance of Lung Ultrasound in the Diagnosis of Acute Respiratory Failure:
 The BLUE Protocol

5MHzのプローベを用い、前胸壁、側胸壁、後側胸壁でICU入室20分以内に3分未満で実施。Aラインは肺胞内または気胸による反復性の水平なアーチファクト。Bラインは彗星の尾の様な、Aラインを消失し、肺スライディングを伴うアーチファクトで、1つの画面に3本以上見られる場合をBライン+とする。AプロファイルはAラインと肺スライディングが見られるもので、COPD、肺塞栓、背部肺炎を示唆する。BプロファイルはBライン+が主なもので、心原性肺水腫を示唆する。ABプロファイルは通常肺炎に関連する。
急性呼吸不全260例(68歳(22-91歳)で検討。Aライン+肺スライディングは89%の感度、97%の特異度で、喘息(34例)、COPD(49例)を示した。複数のびまん性Bライン+肺スライディングは肺水腫を感度97%、特異度95%で示した。正常な前部プロファイルと深部静脈血栓症は肺塞栓症(21例)を感度81%、特異度99%で示した。肺スライディング消失+Aラインは感度81%、特異度100%で気胸を示した。前部肺胞コンソリデーション、肺スライディングの消失した前部びまん性Bライン、前部の非対称性間質性パターン、後部コンソリデーション、前部びまん性Bラインのない胸水は感度89%、特異度94%で肺炎を示した。これらのプロファイルの使用で90.5%で正確な診断が得られる。

2026年4月1日水曜日

成人の敗血症に対する抗菌薬De-Escalation

 JAMA int med,2026,vol.186,no.2
Antibiotics De-Escalation in Adults Hospilized for Community-Onset Sepsis

ミシガン病院安全コンソーシアム敗血症レジストリのデータを用いて検討した。敗血症として登録された36924例のうち、抗MRSAの広域抗菌薬を投与されたもの6926例、抗緑膿菌の広域抗菌薬を投与されたもの11149例で検討した。4日目にDe-EscalationされたものをDe-Escalation群とした。主要評価項目は90日の全死亡。2993例(43.2%)、2493例(22.4%)がそれぞれDe-Escalationされた。広域抗菌薬継続群とDe-Escalation群では90日全死亡は抗MRSAでオッズ比1.00(0.88-1.14)、抗緑膿菌で0.98(0.89-0.93)で有意差を認めず。14日目までの抗菌薬投与日数はDe-Escalation群で有意に短縮(リスク比0.91(0.89-0.93)、0.91(0.88-0.93))、入院日数の短縮(RR、0.88(0.85-0.92),RR0.91(0.88-0.93)を認めた。

2026年3月25日水曜日

老人施設入所者の高血圧治療の降圧剤漸減

 NEJM,2025,vol.393,no.20
Reduction of Antihypertensive Treatment in Nursing Home Residents

ランダム化オープンラベルの多施設研究、RETREAT-FRAIL研究。仏の108の老人施設の80歳以上の入所者で、降圧剤を1剤以上内服中で、血圧130未満のものをプロトコールに従い、減量していくステップダウン群と通常治療群に1対1に無作為に割付し4年間観察。主要評価項目は全死亡。1048例(90.1±5.0歳、女性80.7%、MMSE:13.4、臨床フレイルスコアで軽度29.9%、中等度22.0%、重度38.5%、ベースラインのSBP113±11)がランダム化され、ステップダウン群528例、通常群520例。降圧剤は中止が勧められるList1、必須のList2に分けられ、38.4か月の観察期間中、ステップダウン群は2.6±0.7剤→1.5±1.1剤に減量、通常群で2.5±0.7→2.0±1.1剤となっていた。終了時、血圧は4.1mmHg高かった。降圧剤を再開したのはステップダウン群で7例のみ。主要評価項目である全死亡は61.7%vs60.2%で差なし。AHF発生は12.7%vs11.0%、転倒50.0%vs50.0%、骨折7.8%vs9.2%で差を認めなかった。試験はステップダウン群での優越性を検証する試験。