2026年7月22日水曜日

シンスライスCTでのデシジョンツリーを用いた市中肺炎の病原菌予想

 Jpn J Radiology,2025,vol.43
A decision tree for predicting the the causative pathogens of community-acquired pneumonia from thin-section computed tomography

CAPで区域性あり・なし→気管支壁肥厚・小葉中心性結節(以下BC)あり・なしで4分割。区域性あり+BCあり:マイコプラズマ(60歳未満)、Hインフルエンザ。区域性あり+BCなし:肺炎球菌、クラミジア肺炎、肺炎桿菌。区域性なし+BCあり:肺炎球菌、肺炎桿菌。区域性なし+BCなし:肺炎球菌、クラミジア肺炎、肺炎桿菌という決定木を作成。大分県立病院の原因菌上位10種によるCAP症例68例を無作為に選択し、2名の医学生、6名の研修医、8名の放射線科医が68例のCTを評価。原因菌を第1、第2、第3候補を推定させた。決定木を使用すると正答率が有意に向上した。

2026年7月15日水曜日

急性低酸素性呼吸不全における高流量酸素療法vs標準療法

 NEJM,2026
High-Flow or Standard Oxygen in Acute Hypoxemic Respiratory Failire

SOHO研究、仏の42施設で実施。多施設オープンラベルRCT。18歳以上、RR≧25、肺浸潤影あり、P/F≦200で、除外項目はPCO2≧45、慢性肺疾患、心原性肺水腫、循環動態不安定・昇圧剤使用、GCS<12、抜管・術後7日以内等。高流量群は高流量鼻カニューレで50L/分、標準群は10L以下の酸素マスク投与で酸素飽和度92-96%維持。主要評価項目は28日後の全死亡。1116人ランダム化。高流量群556人、標準群554人(63±13歳)。28日での死亡は14.6%vs14.6%で差なし。28日での再挿管率42.4vs48.4%で差は-5.93%ポイント(-11.78to-0.08)であった。

2026年7月8日水曜日

潜因性脳梗塞における高リスクを伴う高血圧、ARCADIA研究での探索的検討

 JAMA Neurology,2026,vol.83,no.6
Hypertension With High-Risk Features in Crptogenic Stroke
An Exploratory Analysis of the ARCADIA Randomized Clinical Trial

塞栓源不明脳塞栓における抗凝固療法の有用性は示せていない。これは原因不明脳梗塞の中で非塞栓性の高血圧関連の脳梗塞の除外が十分でないからとされる。高血圧リスクの層別化が有用との仮説で、ARCADIA研究を事後解析した。45歳以上の塞栓源不明脳塞栓で、心房心筋症(atrial cardiopathy)(V1のP波終末電位PTF>5000μV・ms、NT-proBNP>250、LAD index>3.0cm/m2のどれかを満たす)を伴うもの。ESUSは50%以上の主幹動脈狭窄があるもの、ラクナ梗塞、その他の原因の脳梗塞は除外。AF既往、EF<30%、抗血栓療法中、脳出血既往、crea>2.5は除外。高リスク群をSBP>160または心エコーで男性LVMI>115,女性>95のどちらかを満たすもの。1015例がランダム化され、945例で解析。ARCADIA研究ではアピキサバンとアスピリンに割り付けて、観察。主要評価項目は脳梗塞と全身性塞栓症。高リスク群は351例37.1%(アピキサバン群167,アスピリン群184)高リスクなし群594例(アピキサバン298、アスピリン296)。高リスクなしでは、アピキサバンでのイベントはHR、0.43(0.22-0.85)で再発を減らした。高リスクありでは、HR、1.68(0.78-3.62)で有意差はなかった。原因不明脳梗塞の二次予防の今後の研究では、従来の分類では高血圧関連脳血管疾患の把握が不十分であることを認識すべき。

2026年7月1日水曜日

敗血症性ショック初期での昇圧剤使用または大量輸液

 NEJM,2026
Vasopressors or Fluids in Early Septic Shock

輸液を制限して昇圧剤を使用する群と大量輸液する群で敗血症性ショックの転帰に差があるか研究(ARISE FLUIDS研究)
多施設オープンラベルのランダム化研究。豪を中心とする3カ国51施設で実施。最初の60分で500-1000mLの輸液を実施してもSBP90以下の敗血症性ショックが対象。昇圧剤群、大量輸液群に1対1に割付。昇圧剤群は最初250mL輸液し、その後は尿量0.5mL/kg/hrを目標に輸液。大量輸液群は最初の60分で1000mL、さらに追加で500-1000mL、その後は30mL/kgを3時間輸液。主要評価項目は90日後に入院していなかった日数。二次評価項目は28日、90日時点の生存率。
昇圧剤群481例、68歳、男性58.4%、輸液群482例、69歳。登録時の輸液量は両群とも1500mL。ランダム化前の昇圧剤、57%vs41%。感染巣(昇圧剤群)肺29.9%、尿路23.3%、腹腔内13.7%、皮膚13.3%。輸液量0-1hr:185vs1000。0-6hr:500vs1500。0-24hr:1140vs2248。昇圧剤投与:86.5%vs67.6%。90日後の非入院日数:76日vs76日。28日の死亡率:12.9vs10.0、90日の死亡率:16.4vs14.4でいずれも差なし。

2026年6月24日水曜日

心不全における血清カリウム値の至適濃度:メタ解析から

 Eur Heart J,2026
Optimal serum potassium consentration in heart failure : an individual patient data meta-analysis

心不全12論文(HFrEF7論文、HFpEF5論文)から血清K値と臨床転帰の関連を検討した。個別データで、K値で6群に層別化(K<3.5、3.5≦K<4.0、4.0≦K<4.5、4.5≦K<5.0、5.0≦K<5.5、5.5≦K)。主要評価項目は全死亡。HFrEFで24.2ヶ月、HFpEFで36.8ヶ月観察。HFrEFではJカーブを呈し、K値4.0-4.5に対してK値3.5未満群は全死亡リスクが修正HR:1.49(1.27-1.76)で有意に高かった。K値は高い場合も修正HRでは有意差なし。二字評価項目のCV死、心不全入院もK値3.5未満では有意に高リスク。HFpEFではK値による差は認めず。突然死ではK値4.0-4.5に対してK値5.5以上でHR:1.87(1.07-3.28)であった。
HFrEFでは低K血症が強く予後不良と関連した。HFrEFとHFpEFの双方に共通する血清K値の安全域は、4.2-5.0 mmol/Lであった。

2026年6月17日水曜日

胸痛、呼吸困難、失神をきたした57歳女性

 NEJM,2026,vol.394,no.11
Case Records of the MGH
Case 8-2026: An 57-Year-Old Woman with Chest Pain, Dyspnea, and Syncope

6週間前に41度の高熱、呼吸困難、低酸素、頻脈、意識障害、麻薬注射で入院歴あり。経胸壁心エコー検査にて、M弁、A弁の肥厚を認め、心嚢液なし。呼吸器管理、抗菌薬投与にて10日後に退院。
2日前までは普通に過ごす。2日前、就眠中に胸部中央、非労作性の胸部圧迫感。胸痛は経験のない強さとなり、呼吸困難をきたし、ER要請。心拍数38-68,血圧70以下、呼吸数43。室内気酸素飽和度93。
既往歴:重度のアルコール依存→15年以上断酒。アルコール関連肝炎、膵炎。麻薬中毒。30年来、ヘロインの静注(針使い回し)。この3年は静脈穿刺困難でフェンタニル吸入。
ERでは35.7度、BP:79/61。心エコー検査では大量の心嚢液貯留。心嚢穿刺、初圧35mmHg、410mL、血性。RBC:233万、WBC2.1万、好中球76%、グラム染色で好中球、赤血球のみ。
急速大量輸液、CTRX、エピネフリン等で血圧上昇。

鑑別診断:
血性心嚢液:直近の心臓手技、胸部外傷、AMI、全身性炎症性疾患等。静脈針の迷入。
心タンポナーデ
心膜炎:結核、化膿性細菌(ブ菌、連鎖球菌)、真菌
急性大動脈症候群:解離、大動脈壁内血腫、潰瘍穿孔、大動脈断裂、動脈瘤破裂拡大

診断、治療
CTアンギオにて大動脈基部に仮性動脈瘤。
手術室に移動し、大動脈基部置換術。生体弁使用。術後、ECMO併用。
A弁の病理診断では真菌を認め、最終、アスペルギルス・フラバス。
術後、全身性塞栓症併発、ショック状態持続。右心不全持続。その後、塞栓症、出血持続。肝不全、腎不全、乳酸アシドーシス増悪。最終、維持療法に切り替わり、8病日に死亡
最終診断
M弁、A弁を含む真菌性心内膜炎による大動脈基部の膿瘍の破裂

2026年6月10日水曜日

食思不振、体重減少、肝病変を認めた86歳女性

 NEJM,2026,vol.394,no.16
Case Records of the MGH
Case 12-2026: An 86-Year-Old Woman with Anorexia, Weight Loss, and Liver Lesions

3週間前までは問題なし。食思不振、摂食量減少、全身衰弱、身の回りの事が困難になる。友人に連れられER受診。35.9度、軽度黄疸あり。右上腹部に圧痛。造影CTにて、総胆管結石、総胆管壁肥厚、肝内・肝外胆管拡張を認め、肝第4区域に45mmの病変あり。
WBC:12260、Eo:10%、総bil:2.2、直bil:1.5、尿ケトン3+
既往歴:乳癌(エストロゲン受容体陽性)

鑑別診断
多発肝のう胞
癌(乳癌肝転移、肝細胞癌、胆管癌、ほかの癌転移)
感染症(膿瘍、非化膿性膿瘍、エキノコッカスのう包)
肝膿瘍の4つの機序①胆道感染からの上行性、②腹腔内感染からの経静脈流入、③血流感染かの血行性波及、④近傍組織からの直接的な波及

診断
バルン補助内視鏡検査にて、生検実施。ERCP実施し、胆管ステント留置。
肝組織の生検からは、肝実質の壊死組織、白血球、リンパ球、マクロファージの急性炎症。チール・ニールセン染色陰性。マッコンキー培地等で大腸菌確定。
治療
PIPI/TAZ→CTRX+メトロニダゾール→AMPC/CVA内服