2026年3月25日水曜日

老人施設入所者の高血圧治療の降圧剤漸減

 NEJM,2025,vol.393,no.20
Reduction of Antihypertensive Treatment in Nursing Home Residents

ランダム化オープンラベルの多施設研究、RETREAT-FRAIL研究。仏の108の老人施設の80歳以上の入所者で、降圧剤を1剤以上内服中で、血圧130未満のものをプロトコールに従い、減量していくステップダウン群と通常治療群に1対1に無作為に割付し4年間観察。主要評価項目は全死亡。1048例(90.1±5.0歳、女性80.7%、MMSE:13.4、臨床フレイルスコアで軽度29.9%、中等度22.0%、重度38.5%、ベースラインのSBP113±11)がランダム化され、ステップダウン群528例、通常群520例。降圧剤は中止が勧められるList1、必須のList2に分けられ、38.4か月の観察期間中、ステップダウン群は2.6±0.7剤→1.5±1.1剤に減量、通常群で2.5±0.7→2.0±1.1剤となっていた。終了時、血圧は4.1mmHg高かった。降圧剤を再開したのはステップダウン群で7例のみ。主要評価項目である全死亡は61.7%vs60.2%で差なし。AHF発生は12.7%vs11.0%、転倒50.0%vs50.0%、骨折7.8%vs9.2%で差を認めなかった。試験はステップダウン群での優越性を検証する試験。

2026年3月18日水曜日

低リスク群でのTAVRと外科的A弁置換術の7年の転帰

 NEJM,2026,vol.394,no.8
Transcatheter or Surgical Aortic-Valve Replacement in Low-Risk Paients at 7 Years

PARTER3研究の7年間の転帰。前向き、多施設、オープンラベル、ランダム化試験。SAPIEN3弁(バルン拡張型人工弁)でのTAVRと生体弁でのA弁置換術(SAVR)に低リスク患者を1対1に無作為に割付。主要評価項目は死亡、脳卒中、手技・心不全に関連する入院の複合。第2主要評価項目は死亡、脳卒中、関連する入院日数。71施設で1000人の患者(73歳、男性69.3%)が無作為化され、TAVR群503例、SAVR群497例。主要評価項目のイベントは34.6%vs37.2%で差はなし。死亡19.5%vs16.8%、脳卒中8.5%vs8.1%、関連入院20.6%vs23.5%であった。7年時点でのA弁圧格差平均は13.1±8.5mmHg vs12.1±6.3、生体弁の機能不全6.9%vs7.3%で、両群で差を認めなかった。TAVR群で最初の数年で弁の血栓症リスクがやや増大するが、後に同様となり、また、心筋梗塞もTAVR群で初期に多い傾向があるも、後に同様となっていた。

2026年3月11日水曜日

eGFR、尿中アルブミン量で層別化した場合のSGLT2阻害薬での腎・心転帰、RCTでのメタ解析

 Kidney Medicine, 2021, vol.3
SGLT2 Inhibitors and Kidney and Cardiac Outcomes According to Estimated GFR Albuminuria Levels: A Meta-analysis of Randomized Contolled Trials

18歳以上で、2型DM、CKD、心不全でのSGLT2阻害薬のRCT論文を検索し、471論文から最終10のRCTでメタ解析を行った。評価項目での腎転帰はCr値の2倍化、eGFRの40%以上の低下、末期腎不全、腎不全死。心転帰は心不全入院、心血管死。計71533人(64.8歳、女性34.4%)でeGFR<60は39.9%、UACR>300㎎/gは26.4%であった。eGFRの層別化で、45未満、45-60、60以上で、SGLT2阻害薬は心転帰を16.0,9.5,1.9/1000・年減らした。UACRの層別化で300以上、30-300、30未満で腎転帰を17.3,1.4,2.2/1000人・年減らし、心転帰を14.8、8.7、2.1/1000人・年減らした。

2026年3月4日水曜日

入院での血液培養での一ヶ所vs複数ヶ所採血

Am J Infction Control, 2025, vol.53
Single-site sampling strategy versus multisite sampling strategy in blood culture collection within the hospital setting: A systematic review

2013論文から7論文を選択し、計18901人、延べ24955回の血培を評価した。7論文中、5論文では一ヶ所での採血で、採血量が多い程、病原体の検出率は向上、コンタミネーションの割合が低かった。40mL採血の2論文では一ヶ所採血(SSS)、複数ヶ所採血(MSS)で、血培陽性率97.4%vs95.5%、77.5%vs54.1%。3論文でのコンタミ率はSSSで2.8-3.6%、MSSで5.6-7.9%であった。

2026年2月25日水曜日

咳と低酸素血症をきたした80歳女性

 NEJM,2026,vol.394,no.5
Case Records of the MGH
Case 4-2026: An 80-Year-Old Woman with Cough and Hypoxemia

8週間前から咳、鼻汁、頭痛、倦怠感、食思不振。3週後には鼻汁、頭痛は改善したが、咳、倦怠感、食思不振は持続。5週前、左側腹部に掻痒のある水疱を認め、帯状疱疹と診断され、バラシクロビルが投与。体重は6㎏減少。
既往歴として、1年前に左腋窩LN腫脹があり、原発不明の扁平上皮癌と診断。患者は独身で、マサチューセッツ州に居住。6年前にケニア、ルワンダ、タンザニア等へ旅行歴がある。
酸素飽和度93%、NT-proBNP:704pg/mL、RSVなどのウイルスパネル検査陰性、百日咳、クラミジア、マイコプラズマは陰性。肺CTでは肺尖部優位に両側にびまん性に末梢より中枢優位に、すりガラス影を認めた。

鑑別診断
感染症、癌、自己免疫性疾患
免疫抑制状態
風土病(ヒストプラズマ症、コクシジオイデス症、パラコクシジオイデス症)
HIV-1陽性、CD-4:33↓、βDグルカン強陽性(500以上)
HIV-1感染に伴うニューモシスチス肺炎
ST合剤で治療。本患者ではBAL液でC.neoformansが検出。このため、髄液検査追加→陰性。AIDSに対してはその後ART治療。

2026年2月18日水曜日

急性期虚血性脳卒中に対するミノサイクリンの効果と安全性、EMPHASIS研究、多施設二重盲検無作為化試験

 Lancet,2026
Efficacy and safety of minocycline in patients with acute ischaemic stroke(EMPHASIS): a multicetre, double-blind, randomised controlled trial

ミノサイクリンは虚血性脳卒中のモデルでミクログリアの抑制、MMPの阻害、脳実質への白血球遊走の抑制により、神経学的な転帰の改善が期待されるが、臨床試験の結果は一貫していない。中国の58施設で実施。18-80歳で、脳梗塞発症72時間以内、NIHSS:4-25点の患者を1:1にランダム化し、ランダム化後30分以内にミノサイクリン200mgを経口(経管)投与し、その後4日間、12時間毎に100mgを投与。その他の通常治療はガイドラインに従い経静脈的血栓溶解療法、血管内血栓回収療法を含めて許可。主要評価項目は90日後のmRS 0-1。
2023年5月から2024年5月に登録され、1724人がランダム化され、862人づつ割付。平均年齢65歳、NIHSS中央値5(4-7)、最初の投薬までの時間41.3H、tPA投与12.2%、血管内血栓回収療法2.4%、TOAST分類ではLAA:45.0%、脳塞栓5.7%、SVD:39.4%、その他3.5%、分類不能6.4%。90日後のmRS 0-1はミノサイクリン群52.6%vsプラセボ群47.4%で修正RR1.11(1.03-1.20)で有意に良好であった。hs-CRPは両群で差は認めず。90日の再発、有害事象に差を認めず。

2026年2月4日水曜日

入院を減らすための高用量インフルエンザワクチン

NEJM,2025,vol.393,no.23
High-Dose Influenza Vaccine to Reduce Hospitalization

 スペイン、ガリシア州で実臨床でのオープンラベル、ランダム化試験。65-79歳、2023-2024(59490人)、2024-2025(74986人)の2シーズンで、それぞれ実施。72.3±4.3歳、男性53.6%。主要評価項目はインフルエンザまたは肺炎による入院。主要評価項目のイベントは高用量群で174/67093(0.26%)、標準用量群227/66789(0.34%)、相対的ワクチン効果23.7%(95%CI、6.6-37.7)。インフルエンザによる入院は0.09%vs0.14%、相対的ワクチン効果31.8%(5.0-51.3)。重篤な有害事象は両群で差なし。