Autoimmune Encephalitis Misdiagnosis in Adults
多くの論文では自己免疫性脳炎の見落としが強調されている。自己免疫性脳炎は中毒性や代謝性脳症、機能性神経障害、一次性精神疾患、神経変性疾患、腫瘍、てんかん等との鑑別困難な場合があり、メイヨー・クリニック、オックスフォード大学などの専門センターでの自己免疫性脳炎の誤診を後方視的に検討した。18歳以上の自己免疫性脳炎と診断された393例を後に精査した結果、107例27.2%に誤診が発見された。107例は中央値48歳(35.5-60.5歳)、発症から正しい診断までの期間は16(7-40)ヶ月。41%に自己免疫性疾患の合併を伴い、その内77%が自己免疫性甲状腺疾患であった。48%が緩徐進行性であった。72%が自己免疫性脳炎の診断基準(2016年の基準のパート1、2)を満たしていなかった。
誤診されたものでは62例中24例で甲状腺自己抗体が陽性。神経抗体陽性は105例中血清で48例46%が陽性(GAD65抗体14例、VGKC抗体10例、NMDAR抗体10例など)、髄液91例中7例(NMDAR抗体4例、VGKC抗体1例、GAD65抗体1例等)が陽性。脳波では79例中31例で異常所見を認め、16例でてんかん様所見を認めた。髄液オリゴクローナルバンド陽性は82例中7例。髄液中の抗NMDAR陽性は4例で、HIV関連脳症、異形成アストロサイトーマ、機能性神経障害、前頭側頭型認知症であった。誤診の結果、免疫治療は84例に実施され、内17例に治療関連の有害事象を認めた。誤診に至った理由は自己抗体の過剰な解釈50%、画像が自己免疫性脳炎と一致していた14%、異常髄液所見8%であった。
甲状腺自己抗体は成人で13%、60歳以上で20%であり、神経自己抗体も5%以上に発現するとされ、神経自己抗体を解釈する際、事前確率(有病率)が低い=陽性予測値は高くないこと、検査方法(ウエスタンブロット法、ラインブロット法、イムノブロット法では偽陽性も多く、慎重に解釈する必要がある。
0 件のコメント:
コメントを投稿