2024年8月29日木曜日

動脈の硬さ(動脈スティッフネス)は脳卒中の既往のない人で、血圧とは関連なく脳小血管病CSVDに関連する

Stroke,2023,vol.54
Arteial Stiffness Is Associated With Small Vessel Disease Irrespective of Blood Pressure in Stroke-Free Individuals

沖縄健康増進基金の健康チェックで脳MRI実施したもの8178人のうち、baPWVを測定し、ABI≦0.95、脳卒中歴のあるものを除外した1894人(57±13歳、女性41%)で、後方視的に検討した。MRIで深部白質病変WMH、微小出血MBs、ラクナ梗塞、PVSの拡大のあるものをCSVDとした。baPWVは14.63m/s、BPは120/80をカットオフ値に設定し、baPWVとBPで4群に分割した。CSVDは38%に見られたが、低BP+高baPWVで56%、高BP+高baPWVで55%、高BP+低baPWVで24%、低BP+低baPWVで22%でPWVの高い群でCSVDが有意に多く、低BP+低baPWVに対して、高BP+高baPWVではCSVDのオッズ比は1.86(1.39-2.49)、低BP+高baPWVでオッズ比1.63(1.09-2.43)であった。

2024年8月22日木曜日

未分画ヘパリン(UFH)は成人敗血症を改善する メタ解析

BMC Anesthesiology,2022,vol.22,no.28
Unfractionated heparin improves the clinical efficacy in adult sepsis patients : a systematic review and meta-analysis

日本の敗血症関連のDICの治療ガイドラインではヘパリンの使用が標準的で、またCOVID19関連での血栓塞栓症予防にヘパリン使用がWHOから推奨されているが、敗血症でのヘパリン使用は未だ議論がある。RCTでのメタ解析を実施。敗血症、敗血症性ショック、敗血症関連のDICで、低用量ヘパリン。主要評価項目は28日時点での死亡率。2326文献を精査、15論文で全文精査。最終15論文(英語4、中国語11)、2617人のデータでメタ解析。UFH群は対照群に比して28日死亡を有意に減らした(RR:0.82;0.72-0.94)。特にAPACHE2スコア>15で減らした(RR:0.83;0.72-0.96)。またUFHは多臓器不全をRR:0.61;0.45-0.84、ICU入室期間を-4.94(-6.89~-2.99)減らした。出血事象は差がなかった(RR:1.10;0.54-2.23)。

2024年8月14日水曜日

2型糖尿病に伴う慢性腎障害でのセマグルチドの効果

NEJM,2024,vol.391,no.2
Effect of Semaglutide on Chronic Kidney Disease in Patients with Type 2 Diabetes

セマグルチド週1回皮下注投与での腎不全進行予防をFLOW研究として実施。二重盲検無作為化プラセボ対照試験。28ヶ国387施設。対象はT2DM、HbA1c≦10%で、RAS阻害薬による十分な治療を受けており、eGFR:25-75のCKDが合併するもの。SGLT阻害薬の有無は問わないが、その有無は無作為化の際に層別化する。セマグルチドは0.25㎎/wから4w毎増量し、1.0㎎/wで維持。主要評価項目は透析導入、腎移植、eGFRの15以上の低下または50%以上の低下、または腎関連・心血管死。3533人(66.6歳、女性30.3%、白人65.8%、アジア系23.9%、HbA1c:7.8±1.3、BMI:32.0、SGLT2併用15.6%、インスリン併用61.4%)が無作為化され、セマグルチド群1767人、対照群1766人に割付。3.4年観察。中断率26%。セマグルチド群のアドヒアランス89%。主要評価項目の腎イベントは5.8/100人・年vs7.5でHR0.76(0.66-0.88)で有意に良好であった。副次評価項目のeGFR低下は-2.19vs-3.36/年、心血管イベントHR0.82(0.68-0.98)、全死亡HR0.80(0.67-0.95)で有意に良好。体重減少は対照群に対して104週の時点で4.1㎏減量。(サブグループ解析では、腎イベントでアジア系では有意差なし、SGLT2阻害薬併用群でも有意差なし)

2024年8月7日水曜日

日本の大規模データベースにおいて、ランソプラゾールとセフトリアキソンの併用は心室性不整脈のリスク増加と関連する

J of Infection,2024,vol.89
Concomitant use of lansoprazole and ceftriaxone is associated with an increased risk of ventricular arrhythmias and cardiac arrest in a large Japanese hospital database

PPIおよびセフトリアキソンは、心筋細胞でのhERGチャンネルをブロックし、QT延長をきたす可能性が指摘されている。全米退役者コホート研究では、PPIによりQT延長のリスクが20-40%増加するとされている。JMDCは日本の600以上の病院の入院、外来患者1500万人以上のデータベースで、そのデータで後方視的コホート研究を行った。
2014-2022年の1547万人のデータで、CTRXおよびABPC/SBTとPPIを併用した患者18万人で、30日以内の心室性不整脈や心停止例などを除外し、CTRX併用例55437人、ABPC/SBT例49864人で、主要評価項目は心室性不整脈、心停止。対象の平均年齢81歳、心室性不整脈・心停止はCTRXで187人0.34%、ABPC/SBTで82人0.16%で、Fine-Gray競合リスク回帰分析にて、ABPC/SBT+ランソプラゾールに対して、CTRX+ランソプラゾールは、HR2.92(1.99-4.29)で有意にリスクが増大していた。また、CTRX+ランソプラゾール静注ではHR:4.57(1.24-16.80)、CTRX+オメプラゾール静注でHR:4.47(1.44-13.90)でリスク増加。