2024年12月25日水曜日

ガバペンチノイドと大腿骨頸部骨折リスク

JAMA Network OPEN,2024,vol.7,no.11
Gabapentinoids and Risk of Hip Fracture

ガバペンチノイドは脳血液関門を通過し、神経伝達物質の遊離を阻害し、その結果、眠気、ふらつき、歩行バランス障害などの副作用を起こす。豪のビクトリア州の4つのデータを用いて2013年-2018年のの大腿骨頸部骨折のコホート研究として検討。ガバペンチノイドの処方が骨折前の60日間(インデックス期間)だった群と121-180日前(参照期間)だった群を比較して、対象薬のオッズ比を推定した。28293人が初回の大腿骨頸部骨折を受傷し、3190人がガバペンチノイドを処方されており93.9%がプレガバリンであった。2946人で解析を行った。59.5%が80歳以上、71.2%が女性。2644人でケース・クロスオーバー解析を行い402人はインデックス期間のみ、205人は参照期間のみでガバペンチノイドを内服しており、骨折のオッズ比は1.96(1.66-2.32)であった。2644人とマッチする将来対照群12920人を選んだ、ケース・ケース・タイムコントロール解析ではオッズ比は1.34(1.11-1.61)、他の薬剤を調整を行ってもオッズ比は1.30(1.07-1.57)と有意に高かった。

2024年12月18日水曜日

手首型加速度計を用いた週末運動活動と心血管疾患の発生

JAMA,2023,vol.330,no.3
Accelerometer-Derived Weekend Warrior Physical Activity and Incident Cardiovascular Disease

WHOやAHAガイドラインでは中等度以上の運動(MVPA)を週に150分以上することを推奨しているが、どのような運動パターンがいいのかは不明である。また過去の研究では運動量が自己申告であったり、サンプルサイズが小さいなどの限界もある。UKバイオバンクに登録された50万人のうち、10万人に手首装着型の3次元加速度計を1週間つけてもらい、日々の運動量、運動パターンを算出した。週の運動量が150分以上でその50%以上を1-2日に集中して運動する群を週末強化運動群(WW群)、週の運動量が150分未満の群を非活動群、運動量が150分以上でWW群でないものを通常活動群とした。89573人のデータを解析し、6.3年観察した。WW群は42.2%(62.2歳、女性51.0%)通常活動群24.0%(61.2歳、女性51.1%)、非活動群33.7%(63.3歳、女性66.8%)。降圧剤内服は15.3%、13.5%、22.8%。BMI>30は14.8%、13.4%、29.4%であった。主要評価項目のAF、MI、HF、脳卒中ではそれぞれ非活動群に比して、AFでハザード比0.78、0.81、MIで0.73、0.65。HFで0.62、0.64。脳卒中で0.79、0.83でいずれも通常活動群と同様に週末運動でもリスクを減らしていた。週の運動量が403分以上ではMI、脳卒中でWW群での非活動群に対する優越性は消失していた。筋骨格系のインシデントも、WW群、通常活動群ともにリスクは低下していた。

2024年12月11日水曜日

菌血症における抗菌薬治療、7日間vs14日間

NEJM,2024
Antibiotic Treatment for 7 versus 14 Days in Patients with Boodstream Infections

BALANCE研究、多施設、オープンラベル、ランダム化前向き試験。7カ国(カナダ、豪、NZなど)74病院で実施。対象は血培陽性者。免疫不全状態、人工弁、血管内グラフト、心内膜炎、骨髄炎、感染性関節炎、ドレナージ未の膿瘍、感染デバイス非除去例は除外。コンタミが考えられる菌、黄ブ菌は除外。主要評価項目は90日後の全死亡。3608人がランダム化され、抗菌薬治療7日間群1814人(70歳、男53.7%)、14日間群1794人(70歳、男52.8%)。SOFA中央値:4。ICU入室:55.0%。DM:31.8%。感染源;尿路42.2%。腹腔内・胆管系18.8%。肺13.0%。カテーテル感染6.3%。皮膚・軟部組織5.2%。血培陽性菌;大腸菌43.8%、クレブシエラ15.3%、エンテロコッカス6.9%、CNS4.8%、緑膿菌4.7%。90日までの死亡は14.5%vs16.1%で有意差はなく、非劣性が示された。ITT解析だけでなく、パープロトコル解析、7日以上生存の修正ITT解析でも同様。菌血症再燃2.6%vs2.2%で有意差なし。
入院を要する菌血症に対する7日間の抗菌薬治療は14日間治療に対して非劣性であった。

2024年12月4日水曜日

COVID-19 mRNAワクチン接種、SARS-CoV-2感染、従来の病因に起因する心筋炎患者の長期予後

JAMA,2024,vol.332,no.16
Long-Term Prognosis of Patients With Myocarditis Attributed to COVID19mRNA Vaccination, SARS-CoV-2 Infection, or Conventional Etiologies

フランス国民COVID19ワクチンデータベース(VAC-SI)、新型コロナ診断データベース(SI-DEP)、国民健康データシステム(SNDS)のデータを用いて、2020年12月から2022年6月の間にフランスで心筋炎で入院した12歳から49歳までの個人がすべて特定した。4635人が心筋炎で入院し、そのうち558人がワクチン後心筋炎、298人がCOVID-19後心筋炎、3779人が従来の心筋炎だった。ワクチン後心筋炎の患者は、COVID-19後心筋炎や従来の心筋炎の患者よりも若く(それぞれ平均25.9、31.0、28.3歳)、男性が多かった(それぞれ84%、67%、79%)。ワクチン接種後心筋炎の患者は、従来の心筋炎の患者よりも複合臨床転帰(心筋炎・心膜炎での再入院+心血管イベント+全死亡)の標準化発生率が低かった(32/558 vs 497/3779イベント、ハザード比、0.55;0.36-0.86)のに対し、COVID-19後心筋炎の個人では同様の結果であった(36/298イベント、ハザード比;1.04、 0.70-1.52)。