2025年6月11日水曜日

発熱、嘔気、呼吸不全の52歳男性

NEJM,2025,vol.392,no.20
Case Records of the MGH
Case 15-2025: A 52-Year-Old Man with Fever, Nausea, and Respiratory Failure

ブエノスアイレスの教育病院ERに初秋に1週間続く咳で受診。1週間前より発熱、咳。胸部XPにてびまん性すりガラス影。15L酸素で酸素飽和度89%。コロナ検査陰性。患者は1か月前に歯科治療歴あり。また、最近ブエノスアイレス郊外のチャコムスの田舎でキャンプ歴あり。特に虫刺やげっ歯類の接触は認めない。血液検査ではHb:19.7,WBC:16500、PLT:54000↓、PaO2:42、PaCO2:70、pH:7.14、肺CTでは気管支肥厚を伴うびまん性すりガラス影。ネイサルハイフロー100%でもPaO2上昇せず、気管内挿管、人工呼吸管理。

鑑別診断
市中肺炎、びまん性肺胞出血、骨髄増殖性疾患
血液濃縮+両側肺病変→毛細血管漏出症候群→重症敗血症、トキシックショック、中毒、アナフィラキシー、ウイルス感染
アルゼンチンのチャコムス地域はハンタウイルスの流行地域。げっ歯類を通じて感染。潜伏期5~45日。発熱、倦怠感、関節痛、筋痛、嘔気・嘔吐などの消化器症状で、1/3は腹痛。腹痛は強く、虫垂炎、憩室炎、胆石に似る。心肺期には著明な低酸素、肺うっ血、ショックとなり、2-4日間持続。入院24-48時間が最も死亡リスク高い。
最終診断:ハンタウイルスによる心肺症候群

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