2025年12月24日水曜日

市中肺炎に対するステロイド投与に対する実際的な臨床試験

NEJM,2025,vol.393,no.22
A Pragmatic Trial of Glucocorticoids for Community-Acquired Pneumonia

十分な医療資源の環境下において、補助的なグルココルチコイドの使用は、重症市中肺炎(CAP)患者の死亡率を低下させる可能性がある。これらの薬剤が、診断および治療施設が限られている環境において有益であるか検討した。ケニアの18病院で実施。実践的、非盲検、無作為化、対照試験として実施。CAPと診断(胸部XPは必須ではない)された成人患者を、CAP標準治療群、標準治療+10日間の経口低用量グルココルチコイド投与群に割付。主要評価項目は30日後の全死亡。合計2180人の患者が無作為化され、(G群1089人、標準群1091人)。患者の年齢53歳(四分位範囲38~72歳)で、46%が女性、胸部XP実施39%、HIV陽性15.2%、DM:6.4%。30日目の全死亡530人(24.3%)で、G群22.6%vs標準群26.0%でハザード比0.84(0.73-0.97、P=0.02)で有意に死亡リスクを減らした。有害事象および重篤な有害事象の頻度は両群で同程度。グルココルチコイド投与に関連すると考えられる重篤な有害事象は、5例(0.5%)に発生した。

2025年12月10日水曜日

低ナトリウム血症の診断と治療 総説

JAMA,2022,vol.328,no.3
Diagnosis and Management of Hyponatremia

低Na血症は成人の約5%、入院患者の35%に発生。軽度低Na血症であっても、入院期間の延長や死亡率の上昇と関連。前向き研究では、低Na血症ではNa値正常者と比較して転倒頻度が高く( 23.8%vs16.4%)、平均7.4年間での新規骨折率も有意に高率(23.3%vs17.3%)。低Na血症は骨粗鬆症の二次的な原因でもある。
尿素とバプタンは、心不全患者の不適切抗利尿症候群および低ナトリウム血症に対する効果的な治療薬となりうるが、副作用として尿素の味、胃不耐症、バプタンの低Na血症の過剰補正、口渇増加がある。重篤な症状を伴う場合(傾眠、意識障害、昏睡、発作、心肺機能低下の徴候)は緊急事態であり、米国・欧州のガイドラインでは、高張食塩水のボーラス投与により、血清ナトリウム濃度を1~2時間以内に4~6mEq/L上昇させ、24時間以内に10mEq/L(補正限界)を超えないように治療する事が推奨。

2025年12月3日水曜日

腹部膨満、浮腫、胸水をきたした82歳女性

NEJM,2025,vol.393,no.16
Case Records of the MGH
Case 30-2025: A 82-Year-Old Woman with Abdominal distention, Edema, and Pleural Effusion

3週間前、特にトラブルなく南米の友人宅で過ごした。1週間前、帰国後より下肢浮腫が出現悪化し、身の回りの事ができなくなった。胸部XP、CTでは少量の胸水。心電図異常なし。既往歴、心房細動、心原性脳塞栓、DCでの除細動、カテーテルアブレーション、HFpEF。メトプロロール、アピキサバン、フロセミド内服あり。全身浮腫、聴診上、収縮期雑音あり。尿蛋白2+、尿比重1.006。血液検査:Hb:10.9、PLT:24.8、Alb:1.7、T-Chol:152。補体値正常。ANA陰性。IgA:829↑、IgG:544↓、免疫グロブリン軽鎖カッパが48.5↑、2つのIgAラムダのMコンポーネントが見られた。

鑑別診断
全身浮腫:膜透過性異常(血管浮腫、敗血症、熱傷、膵炎等)、膠質浸透圧異常(粘液水腫、リンパ浮腫等)、心不全、腎不全など
南米旅行:シャーガス病、フィラリア症、リューシュマニア、マラリア、住血吸虫症など考慮
ネフローゼ症候群:尿蛋白3.5g/日以上。本例では尿比重が低い状態(正常1.010-1.030)で、尿蛋白定性2+はかなり大量の尿蛋白が示唆される→ネフローゼ症候群の可能性。
IgAラムダのM蛋白→ALアミロイドーシス

追加検査
血清c ANCAが弱陽性→ANCA関連血管炎によるRPGNが否定できない
→腎生検実施→メサンギウムにラムダ軽鎖沈着→ALアミロイドーシス
→骨髄生検実施→形質細胞腫瘍あり、5-10%、フローサイトメトリーでCD38、CD138の表現あり。

治療
CD38抗体薬ダラツムマブ、デキサメサゾンで治療開始。症状軽快、1年後も血清フリーラムダ・カッパ軽鎖減少持続。