2022年9月14日水曜日

肛門周囲、陰茎の潰瘍、肛門痛、皮疹を認めた31歳男性

NEJM,2022,vol.387,no.6
Case Records of the MGH
Case 24-2022 : A 31-Year-Old Man with Perianal and Penile Ulcers,  Rectal Pain, and Rash

9日前からの肛門周囲の潰瘍で発症。その後、陰茎の潰瘍、肛門痛に増悪。肛門周囲、陰茎の潰瘍は周囲が硬く隆起。直腸からの出血、悪臭のある分泌物あり。その後、悪寒、発熱あり。体幹、手掌、足底に膿疱、水疱をきたす皮疹あり。口腔内には病変なし。その後、圧痛のある鼠径部リンパ節腫脹。肛門痛は強く、座れないほど。
患者は2人のルームメイト、猫と同居。14年前に2期梅毒の診断を受けPCGでの治療歴あり。口唇ヘルペスで時々バラシクロビル内服あり。さらにエムトリシタビン、テノホビルのHIV暴露前予防内服(PrEP)を受けている。2週間前にカナダへ旅行し男性のパートナーと予防具なしに性行為をしている。トレポネーマ抗体陽性、RPRは1:1陽性。血液HIV検査陰性、尿・直腸粘膜の検体での淋菌、クラミジアの核酸増幅検査陰性。

鑑別診断:陰部ヘルペス、帯状疱疹、伝染性軟属腫、淋病、梅毒、性病性リンパ肉芽腫、軟性下疳。梅毒では陰茎潰瘍、直腸炎では疼痛は乏しく、否定的。
本例ではカナダでの性交渉の相手二人も同様の症状が出ている事も判明。マサチューセッツ州の公衆衛生研究所のリアルタイムPCR検査およびCDCにも検体を送り、前者では非天然痘オルソポックスウイルスDNA陽性、後者でサル痘ウイルスのPCRテスト陽性が判明。最終診断:サル痘。経過は症状は自然に軽快、入院9日で全ての皮疹が痂皮化し退院。

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