Case Records of the MGH
Case 27-2022: A 32-Year-Old Man with Confusion, Headache, and Fever
10年来のベーチェット病の治療歴のある男性。2週間前からの昏迷。子供の年齢を正しく答えられない、日付を正しく言えないなどの症状で気づかれる。頭痛と項部硬直あり。2日前には発熱もあり。1日前より昏迷、眠気の悪化を認め受診。過去にベーチェット病に関連した肺塞栓、腸骨動脈瘤解離、ぶどう膜炎、腎梗塞の既往あり。ベーチェット病の治療にはアザチオプリン、シクロスポリン、プレドニゾロンあり、2年前に免疫抑制剤からアダリムマフ→インフリキシマブ→ゴリムマブに変更。アピキサバン中止72時間後に髄液検査施行。髄液蛋白正常、細胞数88(リンパ球97%)、CT、CTアンギオ異常なし。バンコマイシン、セフトリアキソン、アンピシリン、アシクロビル開始。発熱は改善したが、患者の認知機能は改善なし。髄液再検査、細胞数284(リンパ球72%、好中球13%)HSVのDNA検査陰性、クリプトコッカス抗原、エンテロウイルスRNA陰性。
鑑別診断
急性昏迷性脳症:自己免疫性脳炎(抗NMDA受容体脳炎、抗LGI1受容体脳炎など)
急性脳炎:神経ベーチェット病による無菌性髄膜炎。ベーチェット病での小血管炎による脳炎は多い合併症ではない。ベーチェット病に合併する脳静脈洞血栓症。
TNF阻害薬による中枢神経合併症(脱髄病変により運動、感覚まれに認知機能が障害される)
感染症による脳炎:ニューイングランドでは東部馬脳炎、西ナイル熱など。リステリア症。
原発性CNS血管炎
診断:入院5日目のMRI、FLAIR画像で、橋、中脳、視床、右レンズ核、右内包、右尾状核に高信号→神経ベーチェットによる脳炎を支持する所見。5日目より陰部潰瘍の悪化が出現し、ベーチェット病を支持する症状。
治療:メチルプレドニゾロン静注。本例ではその後、ステロイド、ゴリムマブにMTXを追加。
注意事項:ベーチェット病の眼病変に効果のあるシクロスポリンは神経ベーチェットのリスクに関連があるとされる。
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