Case Records of the MGH
Case 14-2024: A 30 Year-Old Woman with Back Pain, Leg Stiffness and Falls
3年前より、膝を曲げる時や、階段昇降時に背部痛を自覚。数カ月後には背部痛と下肢のこわばりが寛解、増悪するようになる。普段は普通に歩けたり、ランニングも可能であったが、時々、「ロックされた」様になって全く歩けない時もあり、転倒も経験した。2.5年前、リウマチ科受診。膝は他動的に屈曲困難であったが、気をそらす手技では屈曲可能であった。症状は改善せず。MRIではL4/5の椎間板の信号の軽度の低下のみで、筋弛緩薬が投与。
患者には閉所恐怖症、バセドウ病、血小板減少症の既往。妹に橋本病の病歴。
鑑別診断
強直性脊髄炎
ミオトニアをきたす疾患
ジストニアをきたす疾患
Stiff-Person症候群:脊髄、脳のGABA関連のα運動神経抑制の障害=過剰活動による症候。こわばり、疼痛を伴う筋スパズムが最初の症候で、典型的なタイプは傍脊柱筋や腹筋から始まり、進行すると下肢筋に及ぶ。突然の随意運動、理学的な接触、寒冷刺激、感情的刺激、驚愕刺激などが疼痛性筋スパズムを誘発する。35-40歳が好発年齢。50%に自己免疫性疾患の既往、30%に1型糖尿病の既往。ベンゾジアゼピン系薬剤の反応も診断的特徴。不安症、うつ病、広場恐怖症などの精神疾患の合併もよくみられる。
GAD65抗体が60-90%にみられる。
診断的検査
RIAによるGAD65抗体:169nmol/L(カットオフ値20以下)
もしGAD65抗体が陰性であれば、グリシン受容体、amphiphysin、dipeptidyl-peptidase-like protein-6に対する自己抗体の検査を推奨するつもりであった。他に傍脊柱筋の作動筋と拮抗筋の同時収縮の筋電図検査を推奨するつもりであった。
患者は2年間、対症療法を実施したが、改善せず、免疫グロブリン常駐療法にて症状軽快した。
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