2024年6月5日水曜日

頭蓋内内頸動脈狭窄の進行増悪に対するRNF213遺伝子多型の影響

Neurol Genet,2022,vol.8
Effect of the RNF213 p.R4810K Variant on the Progression of Intracranial Artery Stenosis

RNF213遺伝子のp.R4810K変異は東アジアのもやもや病の感受性遺伝子として20-50%に見られる。さらにこの遺伝子多型は欧米では非常にまれだが、東アジアでは人口の1-2%にみられる。この遺伝子多型の有無で頭蓋内狭窄症の15年での長期経過について検討した。
脳卒中発症後1ヶ月以上経過したもので、無症候性or症候性のICA狭窄のあるものの2つの前向き登録データを用いた。1.5Tまたは3TのMRIのMRAで9ヶ所の脳動脈の狭窄を2人の評価者が評価し、grade1(0-29%狭窄)、grade2(30-69%)、grade3(70-99%)、grade4(100%)とし、30-99%狭窄の者を対象とした。全患者の末梢血にて、RNF213 p.R4810Kジェノタイプを検討した。5年以上、MRIで観察し、経過中に死亡したり、重度の脳卒中で脱落したものは除外された。52例、中央値10.3年(5.3-14.8年)観察され、10回MRI実施。52例中、22例(42%、初回MRI時51歳、女性55%)がRNF213遺伝子変異であった。30例(50歳、女性43%)が非キャリアであった。観察期間中に頭蓋内狭窄が悪化した者はRNF213遺伝子変異キャリア群で64%、非キャリア群27%で、オッズ比4.81;1.47-15.77。さらに2段階以上悪化した者(著明増悪)は36%vs10%でオッズ比5.14;1.18-22.49であった。単変量Cox回帰分析では頭蓋内狭窄増悪と関連していたのは、脂質異常症HR,0.41、スタチン使用HR,0.43、RNF213遺伝子多型HR,3.31;1.38-7.90であった。年齢、性で調整した多変量Cox回帰分析では、頭蓋内狭窄の増悪に独立して関連しているのはスタチン使用、RNF213遺伝子多型であった。層別化した検討では、RNF213遺伝子多型で、スタチン使用によるリスク減少はHR,0.20;0.06-0.63と有意であったが、非キャリアではリスク減少に有意ではなかったHR,0.65:0.16-2.63。

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