2025年3月5日水曜日

頭痛をきたした末期肝疾患の56歳女性

NEJM,2024,vol.391,no.24
Case Records of the MGH
Case 40-2024:56-Year-Old Woman with End-Stage Liver Disease and Headache

MASH、肝硬変の女性。股関節の手術後から、全身倦怠感、腹痛で受診。昏迷をきたす。定期的に腹水穿刺。昏迷のため、単語で返答するのみ。肺CTでは、右肺門石灰化、左下肺に線状影。脳CTでは脳小血管病を示唆する白質に軽度低吸収域病変を認めた。特発性細菌性腹膜炎の所見は認めず。腎機能は低下し、利尿剤中止。
転院時、意識清明。転院2日、以前からの頭痛悪化。ずきずき、ガンガン、以前の片頭痛の様に痛いという。転院4日、嘔気あり、脳CT変化なし。転院5日、羞明、右目の視野のぼやけが出現。

鑑別
頭痛で羞明、視野のぼやけがある場合、二次性頭痛などの原因を考慮。
亜急性に増悪:血管原性:脳出血、動脈解離など。髄膜炎、頭蓋内占拠病変。
片側性の視野のぼやけ:頭蓋内圧亢進、眼動脈(脳静脈血栓症、巨細胞性動脈炎)髄膜脳炎(ウイルス性、細菌性、真菌性、寄生虫性)

診断的検査
髄液検査が必要と判断されたが、PT-INR:1.8のため、FFP、ビタミンKが投与。その間、血清クリプトコッカス抗原検査、脳画像検査実施。脳MRIでは基底核に新たにDWI、FLAIRで散在性の小高信号域を認めた。血性クリプトコッカス抗原は64倍。髄液検査では初圧31㎝H2O、糖80、蛋白114、細胞数41、髄液クリプトコッカス抗原2048倍

本例ではPT-INRが1.8のため髄液検査がためらわれたが、PT-INR<2ではFFP投与は意味がなく、4以上で考慮すべき。363例の肝硬変患者に852回の侵襲的手技を行った報告では10回の出血イベントを認めたが、血小板数、PT-INR、Child-Pughグレード、FFPの投与の有無などに関連を認めず。この報告ではPT-INR≧1.3を含む血小板数<5万でも出血イベントを認めず。

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