Association of Vascular Risk Factors and Genetic Factors With Penetrance of Variants Causing Monogenic Stroke
脳卒中に関連する単一遺伝子異常として、CADASILの原因となるNOTCH3変異、CADASIL2のHTRA1変異、および微小血管脳卒中、脳出血に関連するCOL4A1/2変異が知られている。CADASILはこれまで10万人に4人程度と報告されてきたが、最近の報告ではNOTCH3変異の陽性は452人に1人程度とされており、英国のUKバイオバンクのデータを用いて検討した。
UKバイオバンクでの40-69歳、2006年-2010年に集められたデータでの前向き研究。454756人の全エクソン解析が行われ、遺伝子解析にはPLINK formatが用いられた。内38332人では3TのMRIにて、拡散テンソル画像等にて、WMH容積、PSMD(骨格化平均拡散率ピーク幅)などを評価した。NOTCH3変異キャリアは973人(467人に1人)、HTRA1変異は546人(832人に1人)、COL4A1/2変異は336人(1353人に1人)で、NOTCH3変異では全脳卒中のハザード比(HR)2.16(1.67-2.74)、虚血性脳卒中2.65(1.96-3.50)、脳出血2.42(1.23-4.22)、血管性認知症5.42(3.11-8.74)などに有意に関連していた。HTRA1変異では全脳卒中1.86(1.30-2.59)、虚血性脳卒中2.01(1.27-3.00)などで有意に関連し、COL4A1/2変異は脳出血3.56(1.34-7.53)でのみ有意に関連していた。MRIでの解析との関連では、NOTCH3変異、HTRA1変異ではWMH容積、PSMDともに有意に増加。中央値12.6年の観察でもNOTCH3変異は脳卒中、血管性認知症、HTRA1変異は脳卒中の発症と関連していた。血管リスクの影響に関しては、フラミンガムリスクスコアFRSにて検討したところ、高FRSは遺伝子変異キャリア、非キャリアともに関連していたが、統計学的には非キャリアのみが有意に関連し、変異キャリアにおいては倍数的相互作用は見られなかった。ただし、NOTCH3変異、HTRA1変異ではFRSでの血管リスクは追加的相互作用は見られた。
このコホート研究では脳卒中の原因となる単一遺伝子異常はこれまで考えられたより頻度が高く、脳卒中、認知症に関連していた。
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