2025年9月3日水曜日

倦怠感と筋痛をきたした32歳女性

NEJM,2025,vol.393,no.8
Case Records of the MGH
Case 24-2025: A 32-Year-Old Woman with Fatigue and Myalgias

2.5年前、COVI19後より倦怠感、頭痛、筋痛、ブレインフォグの症状あり。血液検査は正常で、CMV、EBV、エーリキア属、アナプラズマ症、ボレリアも陰性。その2年後、コロナ再感染。
今回、9日前より頭部と肩へ放散する頚部痛。痛みは改善せず、右上肢へ放散するようになり、倦怠感が悪化。頚椎XP正常。経口PSL開始。頚部痛は改善したが、その後、胸痛自覚。GOT:170、D-ダイマー1.7、CTアンギオでは肺塞栓の所見なし。患者は郊外居住、敷地でウサギや羊を飼育。ハイキング、キャンプが趣味。
血液検査ではCRP、CK、トロポニンT正常。GOT:89、Dダイマー:0.43。NT-proBNP:604,胸部XP正常、心電図:ウェンケバッハ型房室ブロック。

鑑別診断
Long-COVID、肺塞栓症、ACS
心筋症(ヒドロキシクロロキンで中毒性心筋症)
リウマチ熱、細菌性心内膜炎はAVブロックの原因になりうる
ブルセラ症(動物の飼育歴)ブルセラ症では稀に心内膜炎あり。
ライム心筋炎は2度房室ブロックから3度房室ブロックへ進行するため、考慮必要。
ライム病は早期は遊走性紅斑、ブルズ・アイ(同心円状に広がる皮疹)。発症数週以降で、心筋炎、神経症状、関節炎。神経症状としては脳神経麻痺、髄膜炎、疼痛性神経根症状。
診断、経過
本患者ではダニの刺し口は認めず。ボレリア・ブルグドフェリIgM、IgG抗体陽性。ライム心筋炎は米国のライム病の1%に見られる。経口抗菌薬にて治療。一過性に3度房室ブロックをきたしたが軽快。

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