2026年9月9日水曜日

急性感染症における鉄欠乏性貧血に対する静注鉄剤使用、リアルワールド研究

 blood,2026
A retrospective, real-world study of IV iron use to treat iron deficiency anemia during acute infection

急性感染症において、鉄剤の使用は、病原菌が鉄を利用する事による感染症悪化の懸念が議論されてきた。鉄剤使用の有無における死亡率、入院期間等について後方視的に検討。2000-2025のTriNetXリサーチネットワークのデータを用いて、MRSA菌血症、肺炎、尿路感染症、大腸炎、蜂窩織炎の患者で、鉄欠乏性貧血(IDA)の患者を抽出。感染症発症日1か月前の期間に鉄剤静注のないもの。感染症発症から1回以上、鉄剤の静注のあるもの。これらと傾向スコアをマッチさせた対照群を1対1で抽出し検討。主要評価項目は14日後、90日後の生存率。IDA+急性感染症は33.9万人。そこからMRSA菌血症8433人、肺炎19281人、UTI18613人等を検討。14日後の生存率のHRはMRSA菌血症で0.48(0.41-0.57)、肺炎0.50(0.46-0.54)、UTI0.56(0.49-0.63)、大腸炎0.56(0.47-0.7)、蜂窩織炎0.58(0.47-0.72)、90日生存率も同様で、生存率を改善した。

2026年9月2日水曜日

ARDSに対する肺横隔膜保護人工呼吸(narrative review)

Intensive Care Med,2026
Lung-and diaphragm-protective mechanical ventilation in acute respiratory distress syndrome

従来の肺保護換気は「肺の過伸展を避ける」ことが中心。しかし近年、自発呼吸努力が強すぎると肺損傷(P-SILI)を悪化させることが判明。一方で、努力が弱すぎる/完全に消失すると横隔膜が急速に萎縮し、人工呼吸離脱が遅れる。ARDSでは 肺と横隔膜の両方を守る(LDP)ちょうど良い”呼吸努力の範囲を維持する必要がある。
呼吸努力・肺ストレスの評価法:P0.1(気道閉塞圧):呼吸ドライブの指標。食道圧(Pes):胸腔内圧変動 → 肺ストレスの推定。Pocc(気道閉塞時の陰圧):非侵襲的に努力を推定。横隔膜エコー:筋厚・収縮度の評価。⊿P L,dynは自発呼吸努力を含めた吸気時の肺にかかる実際の driving pressure を指し、ARDSにおけるLDPにおいて重要。