Spina Bifida review article
妊娠3週の時点で神経管が閉鎖しないと発生し、頭蓋レベルでは無脳症、脊髄レベルでは脊髄髄膜瘤となり、両方だと頭蓋脊椎裂と呼ばれる。神経管閉鎖障害は遺伝的な要因、環境因子によるとされ、後者は母体のDM、高体温、抗てんかん薬、肥満などが関連するとされる。遺伝子は単一遺伝子ではなく複数の遺伝子異常となれ、げっ歯類のモデルではヒトの複雑な症状のモデルは作れていない。環境因子では葉酸が関連し、米国では葉酸の内服およびある種の食品への葉酸の添加が義務付けられている。10万出生あたりの頻度は最貧国で300以上、中所得国54-87、先進国34-37となっている。葉酸の内服時期、量、タイプなどはまだエビデンスがない。ケースコントロールスタディで、母体の赤血球中の葉酸レベルと神経管閉鎖障害が関連するという報告が一つある。
出生前手術を評価したMOMS研究では18歳以上、BMI35以下、妊娠19-26週で前向き、RCTが実施され、脊髄髄膜瘤では出生前手術が出生後手術に比して、30ヶ月の運動機能が優れている、1年後の水頭症の頻度(40%vs82%)、キアリ2型奇形(64%vs96%)であった事が示され、さらにその後の5-10歳での評価(MOMS2研究)でも出生前手術群のADL自立度が優れていた。水頭症に対してVPシャントが施行されるが、1年後のシャント不全が30-40%と報告され、神経内視鏡による第3脳室開窓術が実施されるようになっている。さらに神経内視鏡による脈絡叢のアブレーションも併用され、115人のウガンダでの病児の研究では70%がシャント不要と報告された。さらに東アフリカでの多施設研究が実施中である。二分脊椎でのシャント不全は画像上の悪化を示さない事がある。キアリ2型奇形での重要な症状悪化も画像では悪化を示さず、下部脳神経障害、呼吸障害のみの場合がある。
二分脊椎では膀胱機能の維持が重要で、泌尿器科医の役割が重要。また家族の半数の悩みは排便障害である。また下肢の拘縮、変形、側弯の整形的管理、褥瘡、ラテックスアレルギーへの対応が重要であり、それぞれの専門家での学際的対応が重要である。
今後、胎児鏡治療、硬膜閉鎖での組織エンジニアリング、幹細胞技術、膀胱神経刺激治療、側弯症での磁気制御成長ロッドなどの進歩が期待される。
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