2023年4月19日水曜日

慢性化した小児喘息での肺機能の成長と低下のパターン

NEJM,2016,vol.374,no.19
patterns of Growth and Decline in Lung Function in Persistent Childhood Asthma

1993年-1995年に登録、実施された5-12歳の小児を対象に実施されたCAMP研究(ブデソニド、ネドクロミルの吸入療法のRTC)での長期フォローで喘息を罹患した児のその後の肺機能を検討した。1年に最低1回スパイロ実施。684人が検討可能。1秒量の成長カーブが正常の25%パーセンタイル以上を正常成長、それ以下を低成長、二つでの測定点で正常より1秒量が早く低下する場合を早期低下とした。23-30歳(26.0±1.8歳)までフォローされ、684人中、正常成長、早期低下なしは170人25%で、それ以外の514人75%は異常パターンを示した。178人26%は正常成長、早期低下、160人23%は低成長のみ、176人26%は低成長、早期低下を示した。これらは最大の肺機能の年齢に有意差を認め、男性が有意に多く、登録時のBMIが関連していた。また登録時の1秒量も関連していた。最終測定時(26.0±1.8歳時)の気管支拡張剤吸入後の肺機能で11%がFEV1/FVC<0.7のGOLD基準のCOPDを満たし、低成長群で%FEV1が50-80%のStage2が4%、低成長+早期低下群で11%であった。

2023年4月12日水曜日

プロテインC活性が低い患者でのワーファリン誘発性皮膚壊死

Acta Medica Iranica,2016
Warfarin-Induced Skin Necrosis in Patients With Low Protein C Levwls

後天的なプロテインC活性低下は、急性塞栓症、ワーファリン治療、肝臓病、ビタミンK不足、DIC、敗血症などでも起こりうる。この様な場面での抗凝固療法は皮膚壊死が起こりうる。
50歳女性、運動失調、構音障害、めまい、嘔吐で発症。心房細動あり。CT、MRIで上小脳動脈領域の脳塞栓。CHADS-VAScスコア5点。プロテインC活性0.39(0.7-1.4)。ワーファリン5㎎/日より開始。ワーファリン開始後の2日目、左ふくらはぎに疼痛を伴う後半で周囲に血性水疱あり。WISNと診断され、ただちに、未分画ヘパリン、ビタミンK、新鮮凍結血漿にて治療開始。症状改善し、ダビガトランにて治療継続。
WISNはワーファリン治療患者の0.01-0.1%に発生。中年女性に多く、胸部、臀部、大腿に多い。男性では陰茎にも発生。突然発症し、疼痛を伴い、境界明瞭な出血成分を伴う紅斑、浮腫性紅斑の場合はWISNを疑い早期に治療を開始すべき。ワーファリン治療を開始する前にプロテインC、S、高リン脂質抗体のスクリーニングを実施すべき。

血栓塞栓症予防での抗凝固療法、プロテインC欠損症でのワーファリン誘発性皮膚壊死の一例

BMJ Case Rep,2017
Anticoagulation therapy for thromboembolism prevention: a case of warfarin-induced skin necrosis in the setting of protein C deficiency

41歳男性。DVT、肺塞栓の既往あり。5年前に肺塞栓の際にプロテインC欠損症と診断。プロテインC活性12%。37歳時に下大静脈フィルター留置。ワーファリン治療中であったが、皮膚の皮下出血を繰り返すために、治療コンプライアンス不良であった。
今回、PT-INR:0.90で、PT-INR:2-3を目標にワーファリン再開。4日後、両下肢に痛みを伴う皮下壊死が出現、増悪。プロテインC欠損症があるため、ワーファリン誘発性皮膚壊死WISNが疑われ、リバロキサパンに変更。あまり症状改善なし。また、彼の健康保険がリバロキサパンを保険外としたため、同薬内服できず。症状増悪。その後、再入院し、下肢エコーでは静脈にプラーク、閉塞は認めず。エノキサパンで治療開始。その後、ダビガトランに変更し、治療継続。疼痛、皮膚壊死は改善した。

2023年4月5日水曜日

重症市中肺炎でのヒドロコルチゾン治療

NEJM,2023
Hydrocortisone in Severe Community-Acquired Pneumonia

市中肺炎のグルココルチコイドの有用性については、過去のメタ解析では生存率の改善はないもの入院期間を短縮できた、別の解析ではバイアスのリスクはるものの死亡を減らしたと報告された。今回、重症市中肺炎でICU入室した患者で、28日後の全死亡を改善するか検討(CAPECOD研究)。二重盲検のRCTで、フランスの31施設で実施。18歳以上、P/F比300以下の市中肺炎を対象。二重盲検で1対1に割付し、実薬群はヒドロコルチゾン200㎎を4日間、4日目に評価し、さらに条件を満たす場合、漸減して14日間継続。主要評価項目は28日後の全死亡。2015年10月から登録を開始、2回目の中間解析(ヒドロコルチゾン群401例)で、有意差が見られ、試験の終了が勧告された。800例が割付られ、ヒドロコルチゾン群400例、対照群395例で解析された。対照群で年齢67(58-78歳)、COPD26.6%、挿管人工呼吸21.5%、NIV22.8%、ネイザルハイフロー41.0%、リザーバマスク14.7%。昇圧剤治療12.9%、ICU入室まで5.2時間、ICU入室から介入まで14.6時間。結果は28日後の死亡で6.2%vs11.9%(p=0.006)、90日の死亡9.3%vs14.7%、28日の累積挿管人工呼吸HR:0.59(0.40-0.86)、累積NIVでHR:0.60(0.32-1.15)。昇圧剤使用HR:0.59(0.43-0.82)。消化管出血は2.2%vs3.3%、HR:0.68(0.29-1.59)。7日間のインスリン使用量35.5単位vs20.5単位。ヒドロコルチゾンは市中肺炎の28日後の全死亡を減らした。

2023年3月22日水曜日

学校におけるマスク着用解除 - 生徒、教職員のCovid-19の発生率

NEJM,2022,vol.387,no.21
Lifting Universal Masking in Schools - Covid-19 Incidence among Students and Staff

2022年2月にマサチューセッツ州では学校でのマスク全員着用方針を解除したが、グレートボストンでは2つの学区(ボストン地区、チェルシー地区)のみマスク全員着用を2022年6月まで継続した。州教育省のデータDESEの週単位のCovid-19のデータを用い、差分の差分法(DID)にて検討した。マスク着用廃止後15週間のデータではマスク着用廃止学区ではCovid-19発生は134.4/1000人、マスク着用継続学区では66.1/1000人で、マスク着用廃止は44.9/1000人発症が増加していた。マスク着用継続学区は廃止学区にひして、校舎の換気設備が不良、生徒数が多い傾向、低所得者の生徒、英語学習者の割合が多い傾向があった(別の報告ではコロナワクチン接種率はボストン地区、チェルシー地区では53%に比し、他の地区は67%)。
マスク全員着用は(学校での対面教育の継続による)教育格差の軽減に有用と考えられた。

2023年3月15日水曜日

心不全でのダパグリフロジンの長期効果の推定

JACC,2022,vol.80,no.19
Estimated Long-Term Bnefit of Dapagliflozin in Patients With Heart Failure

HFpEFでのSGLT2阻害薬の心血管死や心不全悪化の減少効果は2つのRTCで示されている。ダパグリフロジンの長期使用による。イベントフリー生存をノンパラメトリック年齢ベースの推計法により検討した。DELIVER研究はダパグリフロジンの第3相の無作為化二重盲検試験で、40歳以上、NIHYⅡ-Ⅳ、LVEF>40%、NT-proBNP>300を対象として2018年9月から2021年1月まで20カ国350施設で実施された。主要エンドポイントは心血管死と心不全増悪。6263人(72±10歳)のHFが登録され、6211人が完遂。観察期間2.3年。1122人(27%)でエンドポイントのイベントが発生し、300(27%)が心血管死、718(64%)がHF入院であった。全死亡は1023人。ダパグリフロジンはプライマリエンドポイントを18%減らした(HR:0.82、0.73-0.92)。全死亡では統計学的有意差なし。ノンパラメトリック年齢ベースの推計では、55歳ではプライマリエンドポイントまでのイベントフリー生存期間はダパグリフロジン群11.8年、対照群9.8年(p=0.14)、65歳では12.1年vs9.7年(p=0.002)、75歳では10.6年vs9.4年(p=0.063)であった。55歳から85歳でイベントフリー生存の絶対的な利益は80歳以降は減衰した。

2023年3月8日水曜日

敗血症性ショックにおけるバゾプレシン導入時のカテコラミン濃度、乳酸値、ショック時間と死亡の関係

Critical Care Med,2022,vol.50,no.4
Association of Catecholamine Dose, Lactate, and Shock Duration at Vasopressin Initiation With Mortality in Patients With Septic Shock

米国では敗血症性ショックの20-30%にバゾプレシンが投与されている。VASST研究のサブ解析ではノルエピネフリン15μg/分以下で死亡で有用であった。今回は実臨床での死亡との関連を検討した。多施設、後方視的研究で、Sepsis-3での敗血症性ショックの基準を満たす18歳以上で検討した。8施設、1610例(63±15歳、男性51.6%、ICU63.9%、大学病院76%、乳酸値3.9mmol/L(35.1mg/dL)、バゾプレシン導入時ノルエピネフリン25.0μg/分。APACHEⅢスコア109点)生存660例41%、死亡950例59%で、生存群と死亡群の間では年齢、基礎疾患の有無、乳酸値(3.0vs4.8)、バゾプレシン導入時間(5.0時間vs5.7)、ノルエピネフリン濃度(20.0vs30.0)で有意差を認めた。多変量解析ではノルエピネフリン濃度60μg/分以下では10μg/分上昇毎に死亡リスクが20.7%上昇し、ショック時間毎にバゾプレシン導入字の乳酸値が死亡と有意に関連し、ショック時間12.2時間では乳酸1毎に死亡の修正ORが1.18上昇した。逆にバゾプレシン導入時の乳酸値毎の導入までのショック時間は関連を認めなかった。乳酸値2.3mmol/L、ノルエピネフリン濃度10μg/分でのバゾプレシン導入時の予測死亡率41%、乳酸値3.9mmol/L、ノルエピネフリン濃度25μg/分での予測死亡率53%であった。(注、体重を90㎏とすると、25μg/分で、0.28γ)