2026年8月5日水曜日

BRASH症候群(徐脈、腎障害、房室結節阻害薬、ショック、高カリウム血症):臨床的特徴、転帰、治療

 Cures,2026,vol.18,no.1
Bradycardia, Renal Dysfunction, Atrioventricular Node Blockade, Shock, and Hyperkalemia(BRASH) Syndrome : Clinical Features, Outocmes, and Therapeutic Implications

BRASH症候群は2016年に正式に報告された。病態としては、軽度高K血症でも房室結節抑制をきたし、徐脈から、心拍出量低下、低潅流、腎機能低下、さらに高K血症増悪、徐脈増悪をきたす。高K血症の程度に比して、重度の徐脈がみられ、典型的な高K血症の心電図所見を示さない。
ポルトガルの一医療機関の2019-2022年で、徐脈でERを受診した患者725人の内、HR60以下の徐脈370人で、内、BRASH症候群の定義を満たす51人(79.8±10.6歳、女性51%)について検討。基礎疾患に心不全68%、AF53%、DM43%、CKD26%、利尿薬92%、β阻害薬82%、ACEI69%、ジゴキシン31%。臨床症状:徐脈100%、呼吸苦45%、倦怠感45%、意識障害35%、胸痛29%、めまい感28%。誘発因子:腎負荷暴露49%、感染症43%、低潅流33%、急性心不全33%、AV結節阻害薬の新規投与24%。
K値中央値6.5(ベースラインから2.0上昇)。全例AKIを呈し、クレアチニン値は1.2→2.6と上昇。多くの症例は標準的な高K血症の治療が施行され、GI療法73%、Ca剤静注73%、β刺激薬88%、重炭酸20%、K吸着薬82%。アトロピン投与39%であったが、多くは無効。
転帰:院内死亡16%、退院後90日以内の死亡7%。永久ペースメーカ挿入5例10%、透析6例(緊急HD4例)。退院後90日以内の再入院42%。
軽度高K血症、徐脈例でのBRASH症候群の早期認識が重要。

2026年7月29日水曜日

この患者は容量過負荷か?合理的な臨床検査

 JAMA,2026,vol.335,no.13
Dose This Patient Have Volume Overload?
The Rational Clinical Examnination

血管内の容量過負荷を示す所見:
肺エコー:B-line
エコーでの頚静脈、下大静脈拡張
呼吸での内頸静脈の拡張の変動が30%未満では容量過負荷の所見
下大静脈が2.1cm以上で吸気時50%以下の虚脱の場合、容量過負荷
BNP、NT-proBNP高値

容量過負荷の同定に関して、2873+7論文から40論文で精査、メタ解析。身体所見上の頚静脈拡張は特異度92%、感度35%。ラ音聴取:特異度81%、感度56%。下肢浮腫:特異度80%、感度44%。胸部XP肺うっ血:特異度91%、感度51%。肺エコーB-Line:特異度77%、感度93%。下大静脈虚脱率:感度82%、特異度79%。頚静脈怒脹8cm:感度81%、特異度71%。BNP高値:特異度87%、特異度87%。NT-proBNPは一貫性を示せず。

2026年7月22日水曜日

シンスライスCTでのデシジョンツリーを用いた市中肺炎の病原菌予想

 Jpn J Radiology,2025,vol.43
A decision tree for predicting the the causative pathogens of community-acquired pneumonia from thin-section computed tomography

CAPで区域性あり・なし→気管支壁肥厚・小葉中心性結節(以下BC)あり・なしで4分割。区域性あり+BCあり:マイコプラズマ(60歳未満)、Hインフルエンザ。区域性あり+BCなし:肺炎球菌、クラミジア肺炎、肺炎桿菌。区域性なし+BCあり:肺炎球菌、肺炎桿菌。区域性なし+BCなし:肺炎球菌、クラミジア肺炎、肺炎桿菌という決定木を作成。大分県立病院の原因菌上位10種によるCAP症例68例を無作為に選択し、2名の医学生、6名の研修医、8名の放射線科医が68例のCTを評価。原因菌を第1、第2、第3候補を推定させた。決定木を使用すると正答率が有意に向上した。

2026年7月15日水曜日

急性低酸素性呼吸不全における高流量酸素療法vs標準療法

 NEJM,2026
High-Flow or Standard Oxygen in Acute Hypoxemic Respiratory Failire

SOHO研究、仏の42施設で実施。多施設オープンラベルRCT。18歳以上、RR≧25、肺浸潤影あり、P/F≦200で、除外項目はPCO2≧45、慢性肺疾患、心原性肺水腫、循環動態不安定・昇圧剤使用、GCS<12、抜管・術後7日以内等。高流量群は高流量鼻カニューレで50L/分、標準群は10L以下の酸素マスク投与で酸素飽和度92-96%維持。主要評価項目は28日後の全死亡。1116人ランダム化。高流量群556人、標準群554人(63±13歳)。28日での死亡は14.6%vs14.6%で差なし。28日での再挿管率42.4vs48.4%で差は-5.93%ポイント(-11.78to-0.08)であった。

2026年7月8日水曜日

潜因性脳梗塞における高リスクを伴う高血圧、ARCADIA研究での探索的検討

 JAMA Neurology,2026,vol.83,no.6
Hypertension With High-Risk Features in Crptogenic Stroke
An Exploratory Analysis of the ARCADIA Randomized Clinical Trial

塞栓源不明脳塞栓における抗凝固療法の有用性は示せていない。これは原因不明脳梗塞の中で非塞栓性の高血圧関連の脳梗塞の除外が十分でないからとされる。高血圧リスクの層別化が有用との仮説で、ARCADIA研究を事後解析した。45歳以上の塞栓源不明脳塞栓で、心房心筋症(atrial cardiopathy)(V1のP波終末電位PTF>5000μV・ms、NT-proBNP>250、LAD index>3.0cm/m2のどれかを満たす)を伴うもの。ESUSは50%以上の主幹動脈狭窄があるもの、ラクナ梗塞、その他の原因の脳梗塞は除外。AF既往、EF<30%、抗血栓療法中、脳出血既往、crea>2.5は除外。高リスク群をSBP>160または心エコーで男性LVMI>115,女性>95のどちらかを満たすもの。1015例がランダム化され、945例で解析。ARCADIA研究ではアピキサバンとアスピリンに割り付けて、観察。主要評価項目は脳梗塞と全身性塞栓症。高リスク群は351例37.1%(アピキサバン群167,アスピリン群184)高リスクなし群594例(アピキサバン298、アスピリン296)。高リスクなしでは、アピキサバンでのイベントはHR、0.43(0.22-0.85)で再発を減らした。高リスクありでは、HR、1.68(0.78-3.62)で有意差はなかった。原因不明脳梗塞の二次予防の今後の研究では、従来の分類では高血圧関連脳血管疾患の把握が不十分であることを認識すべき。

2026年7月1日水曜日

敗血症性ショック初期での昇圧剤使用または大量輸液

 NEJM,2026
Vasopressors or Fluids in Early Septic Shock

輸液を制限して昇圧剤を使用する群と大量輸液する群で敗血症性ショックの転帰に差があるか研究(ARISE FLUIDS研究)
多施設オープンラベルのランダム化研究。豪を中心とする3カ国51施設で実施。最初の60分で500-1000mLの輸液を実施してもSBP90以下の敗血症性ショックが対象。昇圧剤群、大量輸液群に1対1に割付。昇圧剤群は最初250mL輸液し、その後は尿量0.5mL/kg/hrを目標に輸液。大量輸液群は最初の60分で1000mL、さらに追加で500-1000mL、その後は30mL/kgを3時間輸液。主要評価項目は90日後に入院していなかった日数。二次評価項目は28日、90日時点の生存率。
昇圧剤群481例、68歳、男性58.4%、輸液群482例、69歳。登録時の輸液量は両群とも1500mL。ランダム化前の昇圧剤、57%vs41%。感染巣(昇圧剤群)肺29.9%、尿路23.3%、腹腔内13.7%、皮膚13.3%。輸液量0-1hr:185vs1000。0-6hr:500vs1500。0-24hr:1140vs2248。昇圧剤投与:86.5%vs67.6%。90日後の非入院日数:76日vs76日。28日の死亡率:12.9vs10.0、90日の死亡率:16.4vs14.4でいずれも差なし。

2026年6月24日水曜日

心不全における血清カリウム値の至適濃度:メタ解析から

 Eur Heart J,2026
Optimal serum potassium consentration in heart failure : an individual patient data meta-analysis

心不全12論文(HFrEF7論文、HFpEF5論文)から血清K値と臨床転帰の関連を検討した。個別データで、K値で6群に層別化(K<3.5、3.5≦K<4.0、4.0≦K<4.5、4.5≦K<5.0、5.0≦K<5.5、5.5≦K)。主要評価項目は全死亡。HFrEFで24.2ヶ月、HFpEFで36.8ヶ月観察。HFrEFではJカーブを呈し、K値4.0-4.5に対してK値3.5未満群は全死亡リスクが修正HR:1.49(1.27-1.76)で有意に高かった。K値は高い場合も修正HRでは有意差なし。二字評価項目のCV死、心不全入院もK値3.5未満では有意に高リスク。HFpEFではK値による差は認めず。突然死ではK値4.0-4.5に対してK値5.5以上でHR:1.87(1.07-3.28)であった。
HFrEFでは低K血症が強く予後不良と関連した。HFrEFとHFpEFの双方に共通する血清K値の安全域は、4.2-5.0 mmol/Lであった。

2026年6月17日水曜日

胸痛、呼吸困難、失神をきたした57歳女性

 NEJM,2026,vol.394,no.11
Case Records of the MGH
Case 8-2026: An 57-Year-Old Woman with Chest Pain, Dyspnea, and Syncope

6週間前に41度の高熱、呼吸困難、低酸素、頻脈、意識障害、麻薬注射で入院歴あり。経胸壁心エコー検査にて、M弁、A弁の肥厚を認め、心嚢液なし。呼吸器管理、抗菌薬投与にて10日後に退院。
2日前までは普通に過ごす。2日前、就眠中に胸部中央、非労作性の胸部圧迫感。胸痛は経験のない強さとなり、呼吸困難をきたし、ER要請。心拍数38-68,血圧70以下、呼吸数43。室内気酸素飽和度93。
既往歴:重度のアルコール依存→15年以上断酒。アルコール関連肝炎、膵炎。麻薬中毒。30年来、ヘロインの静注(針使い回し)。この3年は静脈穿刺困難でフェンタニル吸入。
ERでは35.7度、BP:79/61。心エコー検査では大量の心嚢液貯留。心嚢穿刺、初圧35mmHg、410mL、血性。RBC:233万、WBC2.1万、好中球76%、グラム染色で好中球、赤血球のみ。
急速大量輸液、CTRX、エピネフリン等で血圧上昇。

鑑別診断:
血性心嚢液:直近の心臓手技、胸部外傷、AMI、全身性炎症性疾患等。静脈針の迷入。
心タンポナーデ
心膜炎:結核、化膿性細菌(ブ菌、連鎖球菌)、真菌
急性大動脈症候群:解離、大動脈壁内血腫、潰瘍穿孔、大動脈断裂、動脈瘤破裂拡大

診断、治療
CTアンギオにて大動脈基部に仮性動脈瘤。
手術室に移動し、大動脈基部置換術。生体弁使用。術後、ECMO併用。
A弁の病理診断では真菌を認め、最終、アスペルギルス・フラバス。
術後、全身性塞栓症併発、ショック状態持続。右心不全持続。その後、塞栓症、出血持続。肝不全、腎不全、乳酸アシドーシス増悪。最終、維持療法に切り替わり、8病日に死亡
最終診断
M弁、A弁を含む真菌性心内膜炎による大動脈基部の膿瘍の破裂

2026年6月10日水曜日

食思不振、体重減少、肝病変を認めた86歳女性

 NEJM,2026,vol.394,no.16
Case Records of the MGH
Case 12-2026: An 86-Year-Old Woman with Anorexia, Weight Loss, and Liver Lesions

3週間前までは問題なし。食思不振、摂食量減少、全身衰弱、身の回りの事が困難になる。友人に連れられER受診。35.9度、軽度黄疸あり。右上腹部に圧痛。造影CTにて、総胆管結石、総胆管壁肥厚、肝内・肝外胆管拡張を認め、肝第4区域に45mmの病変あり。
WBC:12260、Eo:10%、総bil:2.2、直bil:1.5、尿ケトン3+
既往歴:乳癌(エストロゲン受容体陽性)

鑑別診断
多発肝のう胞
癌(乳癌肝転移、肝細胞癌、胆管癌、ほかの癌転移)
感染症(膿瘍、非化膿性膿瘍、エキノコッカスのう包)
肝膿瘍の4つの機序①胆道感染からの上行性、②腹腔内感染からの経静脈流入、③血流感染かの血行性波及、④近傍組織からの直接的な波及

診断
バルン補助内視鏡検査にて、生検実施。ERCP実施し、胆管ステント留置。
肝組織の生検からは、肝実質の壊死組織、白血球、リンパ球、マクロファージの急性炎症。チール・ニールセン染色陰性。マッコンキー培地等で大腸菌確定。
治療
PIPI/TAZ→CTRX+メトロニダゾール→AMPC/CVA内服

2026年6月4日木曜日

慢性腎臓病

 Lancet,2026,vol.407
Chronic kidney disease : Seminar

世界でCKDは8億5千万人、腎代替療法400万人。
2017年の段階でCKDの有病率9.1%。1990年から比較してCKDは29%増加。
年齢別のCKDの増加率は男性に比して女性は1.3倍になっている。しかし、いったんCKDが増悪すると、女性より男性の方がeGFRの低下率が大きく、透析または腎移植の割合は1.5倍多くなる。
5年以内の腎不全リスクが3-5%に達したら、腎専門医の受診をすすめるべき。
KDIGOガイドラインではタンパク質摂取量は0.8g/kg。
RAS阻害薬、SGLT2阻害薬くわえて、nsMRA(フィネレノン)、GLP-1作動薬

2026年5月28日木曜日

場所別の院内心停止:疫学、緊急治療への反応、転帰に関する最新の分析

 Criti. Care Med,2026,vol.54
Location on In-Hospital Cardiac Arrest: An Updated Analysis of Epidemiology, Emergency Response, and Outcomes

米国では年間29万人が院内心停止で影響を受け、GWTG-R登録では9.7件/1000入院で発生している。GWTG-R登録での2010年-2021年の院内心停止について前向きに調査した。235560件の院内心停止を解析し、発生場所がICU53.4%、ER14.0%、モニタあり病棟16.0%、モニタなし病棟16.6%。除細動可能な心拍リズムの心停止は15.9%であった。自己心拍再開率は全体で70.8%、それぞれ71.5%、70.9%、73.0%、66.2%。自己心拍再開までの時間は全体7.0分、それぞれ6.0分、7.0分、8.0分、10.0分。生存率はICU19%、ER26%、モニタあり病棟28%、モニタなし病棟22%で、年齢、性、人種、入院原因、併存疾患数、除細動可能リズム、施設のサイズ、教育病院、昇圧剤、呼吸器等で調整した調整生存率はそれぞれ21%、22%、23%、19%で、モニタなし病棟を基準にすると、修正オッズ比はICU1.15、ER1.23、モニタあり病棟1.29であった。

2026年5月20日水曜日

心房細動患者の脳梗塞2次予防でのカテーテルアブレーションと経口抗凝固療法

 JAMA Neurology,2026
Catheter Ablation and Oral Anticoagulation for Secondary Stroke Prevention in Atrial Fibrillation
 -The STABLED Randomized Clinical Trial-

脳梗塞発症後1-6ヶ月後に実施されたカテーテルアブレーション(CA)の効果と安全性を検討した。
対象:20-85歳で、6か月以内に発症した心房細動を有する脳梗塞患者で、mRS3以下のもの。
方法:日本の45施設で、多施設、前向き、オープンラベルでのRCTで、標準治療群は抗凝固療法のみで、CA群は抗凝固療法+CAで、1:1でCHADS2スコアで層別化した上で、無作為に割付。標準群はエドキサバンで治療。CA群は割付後、最低4週間のエドキサバンで治療後、1-6か月以内にCAを実施。抗不整脈薬の使用は熟練の循環器内科医が裁量で実施許可。
主要評価項目:虚血性脳卒中+全身性塞栓症+全死亡+心不全入院の複合。ネット臨床転帰は主要評価項目+CAによる重症有害事象。
結果:251人が登録され、249人がITT解析。年齢71.7±7.5歳、女性24.9%。DWI-ASPECTSは8.4±2.1、NIHSSは1.7±2.6であった。標準群3.7年、CA群3.5年観察。CAはランダム化後、平均65日で実施。17%がCAを複数回実施。ITT解析では主要評価項目の複合イベントは標準群4.9/100人・年、CA群5.6/100人・年で発生し、HR:1.11(0.62-2.01)で有意差なし。CA群の22例の内、3例はCAを非実施、2例はCA実施前に発生。パープロトコル解析も同様の結果であった。CA群に割り付けられたもののうち、15.2%は抗凝固療法のみで、標準群のうち、12.9%でCAが実施され、CA実施されたものは65.0歳vs73.0歳であった。追加検討でのCA実施者と抗凝固療法のみの者では、複合イベントはHR:0.84(0.46-1.56)であった。

2026年5月13日水曜日

PPI長期使用による閉塞性肺疾患の増悪リスク

 Chest,2026
Exacerbation Risk by Chronic Proton Pump Inhibitor Use in Obstructive Lung Disease

対象:ベルギーの健康保険の利用者でベルギーの外来患者のPPI使用者。PPIの禁忌であるMTX使用者、肝硬変は除く。
方法:PPI使用とCOPD、BA、ACO等(COAD、慢性気道閉塞性疾患)の増悪との関連を検討。
主要評価項目:入院を要する重症の増悪および中等症の増悪。
結果:93万人のCOADのうち、PPI使用者44.6%で、28日未満13.8%、29-180日使用30.8%、181-365日使用30.8%、365日以上使用24.6%。PPI非使用に対するPPI使用での増悪の修正ハザード比:1.18(1.17-1.19)。365日以上使用でHR,1.25(1.23-1.26)。PPIの累積使用はCOADの増悪と関連していた。

2026年4月22日水曜日

HFpEFに対するフィネレノンの効果と安全性、FINE-HEART解析

JACC HF,2025,vol.13,no.8
Efficacy and Safety of Finerenone in Heart Failure With Preserved Ejection Fraction : A FINE-HEART Analysis

HFmrEF、HFpEFに対するフィネレノンの効果を3つの国際RCT(FINEARTS-HF、FIDELIO-DKD、FIGARO-DKD)の統合解析でメタ解析した。FIDELIO-DKD、FIGARO-DKDはT2DM、CKDで尿中アルブミン/クレアチニン比:30-300、eGFR:25-60で、K<4.8で、HFrEFは除外。FINEARTS-HFではEF>40、eGFR≧25、K≦5.0のものが登録。フィネレノンは10mgから開始、20mg、最大40mgまで増量。主要評価項目はCV死orHF入院。3研究で18991例が登録され、うちHFmrEF/HFpEFは7008例(年齢71±10歳、女性44%、白人80%、AF合併34.2%、FINEARTS-HF研究が85.6%)(フィネレノン群3448例、プラセボ3520例)。2.5年観察。主要評価項目では19.4%vs22.0%で、ハザード比0.87(0.78-0.96)であった。CV死はHR:0.92(0.78-1.08)、HF入院:0.84(0.74-0.94)、新規AF:0.75(0.58-0.97)。eGFRの50%以上低下の腎転帰:1.09(0.84-1.43)、全死亡+全入院:0.93(0.88-1.00)であった。
有害事象であるK>5は15.0%vs7.6%、高K血症関連入院0.6%vs0.2%、急性腎障害4.0%vs2.7%。

2026年4月15日水曜日

意識の変容、低血糖をきたした12歳女性

NEJM,2026,vol.394,no.12
Case Records of the MGH
Case 9-2026: A 12-Year-Old Girl with Altered Mental Status and Hypoglycemia

当日朝、起こしてもなかなか起きず、視線も定まらず、言葉も出ない状態。前夜までは普通。体温35.4度、手足の自発的な運動は認められた。血糖30。ブドウ糖静注で意識レベル改善。頭部CT異常なし。この1年で体重減少4kgあり。圧痛を認めない腹部膨満あり。その後も持続的ブドウ糖静注にもかかわらず持続的低血糖あり。βヒドロキシ酪酸、インスリン、Cペプチドは検出感度以下、プロインスリン0.6pmol/L(3.6-22.0)であった。

鑑別診断
インスリノーマ、人為的低血糖、先天性高インスリン血症、インスリン自己免疫症候群
非膵島細胞腫瘍性低血糖症(IGF-Ⅱ産生腫瘍)

検査
グルカゴン負荷試験:血糖46→142と増加
IGF-Ⅱ:IGF-Ⅰ比8.6:1(正常<3:1)
腹部CTにて28×21の下腹部に充実性腫瘤(間葉系腫瘤、癌、転移性サルコーマ、リンパ腫、非定型奇形腫)
コア生検が実施。免疫組織染色、遺伝子検査等にて良性平滑筋腫と診断され、外科的切除。

2026年4月8日水曜日

急性呼吸不全における超音波診断の妥当性

 Chest,2008,vol.134
Relevance of Lung Ultrasound in the Diagnosis of Acute Respiratory Failure:
 The BLUE Protocol

5MHzのプローベを用い、前胸壁、側胸壁、後側胸壁でICU入室20分以内に3分未満で実施。Aラインは肺胞内または気胸による反復性の水平なアーチファクト。Bラインは彗星の尾の様な、Aラインを消失し、肺スライディングを伴うアーチファクトで、1つの画面に3本以上見られる場合をBライン+とする。AプロファイルはAラインと肺スライディングが見られるもので、COPD、肺塞栓、背部肺炎を示唆する。BプロファイルはBライン+が主なもので、心原性肺水腫を示唆する。ABプロファイルは通常肺炎に関連する。
急性呼吸不全260例(68歳(22-91歳)で検討。Aライン+肺スライディングは89%の感度、97%の特異度で、喘息(34例)、COPD(49例)を示した。複数のびまん性Bライン+肺スライディングは肺水腫を感度97%、特異度95%で示した。正常な前部プロファイルと深部静脈血栓症は肺塞栓症(21例)を感度81%、特異度99%で示した。肺スライディング消失+Aラインは感度81%、特異度100%で気胸を示した。前部肺胞コンソリデーション、肺スライディングの消失した前部びまん性Bライン、前部の非対称性間質性パターン、後部コンソリデーション、前部びまん性Bラインのない胸水は感度89%、特異度94%で肺炎を示した。これらのプロファイルの使用で90.5%で正確な診断が得られる。

2026年4月1日水曜日

成人の敗血症に対する抗菌薬De-Escalation

 JAMA int med,2026,vol.186,no.2
Antibiotics De-Escalation in Adults Hospilized for Community-Onset Sepsis

ミシガン病院安全コンソーシアム敗血症レジストリのデータを用いて検討した。敗血症として登録された36924例のうち、抗MRSAの広域抗菌薬を投与されたもの6926例、抗緑膿菌の広域抗菌薬を投与されたもの11149例で検討した。4日目にDe-EscalationされたものをDe-Escalation群とした。主要評価項目は90日の全死亡。2993例(43.2%)、2493例(22.4%)がそれぞれDe-Escalationされた。広域抗菌薬継続群とDe-Escalation群では90日全死亡は抗MRSAでオッズ比1.00(0.88-1.14)、抗緑膿菌で0.98(0.89-0.93)で有意差を認めず。14日目までの抗菌薬投与日数はDe-Escalation群で有意に短縮(リスク比0.91(0.89-0.93)、0.91(0.88-0.93))、入院日数の短縮(RR、0.88(0.85-0.92),RR0.91(0.88-0.93)を認めた。

2026年3月25日水曜日

老人施設入所者の高血圧治療の降圧剤漸減

 NEJM,2025,vol.393,no.20
Reduction of Antihypertensive Treatment in Nursing Home Residents

ランダム化オープンラベルの多施設研究、RETREAT-FRAIL研究。仏の108の老人施設の80歳以上の入所者で、降圧剤を1剤以上内服中で、血圧130未満のものをプロトコールに従い、減量していくステップダウン群と通常治療群に1対1に無作為に割付し4年間観察。主要評価項目は全死亡。1048例(90.1±5.0歳、女性80.7%、MMSE:13.4、臨床フレイルスコアで軽度29.9%、中等度22.0%、重度38.5%、ベースラインのSBP113±11)がランダム化され、ステップダウン群528例、通常群520例。降圧剤は中止が勧められるList1、必須のList2に分けられ、38.4か月の観察期間中、ステップダウン群は2.6±0.7剤→1.5±1.1剤に減量、通常群で2.5±0.7→2.0±1.1剤となっていた。終了時、血圧は4.1mmHg高かった。降圧剤を再開したのはステップダウン群で7例のみ。主要評価項目である全死亡は61.7%vs60.2%で差なし。AHF発生は12.7%vs11.0%、転倒50.0%vs50.0%、骨折7.8%vs9.2%で差を認めなかった。試験はステップダウン群での優越性を検証する試験。

2026年3月18日水曜日

低リスク群でのTAVRと外科的A弁置換術の7年の転帰

 NEJM,2026,vol.394,no.8
Transcatheter or Surgical Aortic-Valve Replacement in Low-Risk Paients at 7 Years

PARTER3研究の7年間の転帰。前向き、多施設、オープンラベル、ランダム化試験。SAPIEN3弁(バルン拡張型人工弁)でのTAVRと生体弁でのA弁置換術(SAVR)に低リスク患者を1対1に無作為に割付。主要評価項目は死亡、脳卒中、手技・心不全に関連する入院の複合。第2主要評価項目は死亡、脳卒中、関連する入院日数。71施設で1000人の患者(73歳、男性69.3%)が無作為化され、TAVR群503例、SAVR群497例。主要評価項目のイベントは34.6%vs37.2%で差はなし。死亡19.5%vs16.8%、脳卒中8.5%vs8.1%、関連入院20.6%vs23.5%であった。7年時点でのA弁圧格差平均は13.1±8.5mmHg vs12.1±6.3、生体弁の機能不全6.9%vs7.3%で、両群で差を認めなかった。TAVR群で最初の数年で弁の血栓症リスクがやや増大するが、後に同様となり、また、心筋梗塞もTAVR群で初期に多い傾向があるも、後に同様となっていた。

2026年3月11日水曜日

eGFR、尿中アルブミン量で層別化した場合のSGLT2阻害薬での腎・心転帰、RCTでのメタ解析

 Kidney Medicine, 2021, vol.3
SGLT2 Inhibitors and Kidney and Cardiac Outcomes According to Estimated GFR Albuminuria Levels: A Meta-analysis of Randomized Contolled Trials

18歳以上で、2型DM、CKD、心不全でのSGLT2阻害薬のRCT論文を検索し、471論文から最終10のRCTでメタ解析を行った。評価項目での腎転帰はCr値の2倍化、eGFRの40%以上の低下、末期腎不全、腎不全死。心転帰は心不全入院、心血管死。計71533人(64.8歳、女性34.4%)でeGFR<60は39.9%、UACR>300㎎/gは26.4%であった。eGFRの層別化で、45未満、45-60、60以上で、SGLT2阻害薬は心転帰を16.0,9.5,1.9/1000・年減らした。UACRの層別化で300以上、30-300、30未満で腎転帰を17.3,1.4,2.2/1000人・年減らし、心転帰を14.8、8.7、2.1/1000人・年減らした。